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第0116話

「君のおばあちゃん話によると、半年ほど前から時々心臓が痛むと言っていたらしい。でもそれが時々だったので、大したことではないと思っていたんだ…」天河の声も震えていた。

「すぐに着くから…もう少しだけ…」綿の頭の中は真っ白だった。

他人の命を救うことができても、祖父が病気になると動揺してしまう。

「輝明、もっと急いで」綿は輝明に急かした。

輝明は彼女を一瞥した。彼女の目は真っ赤で、頬には涙が流れていた。その慌てふためく様子は一目瞭然だった。

区役所から第二病院までの車程は約30分。

信号のたびに、綿は耐え難い苦痛を感じた。

彼女は目を閉じ、大きく息を吸い込んだが、心の平静を取り戻すことはできなかった。

「おじいちゃんが無事でありますように。絶対に無事でいてほしい!」綿の心の中で繰り返された。「おじいちゃんに何かあったら、家族はどうしたらいいのか…おじいちゃんのいない日々なんて、考えたくもない」

綿が混乱しているとき、突然、手のひらに温かい手が握られた。

輝明は前方を見つめ、感情を抑えながら綿を慰めた。「おじいちゃんは大丈夫だよ、綿。自分を怖がらせないで」

輝明が話しかけると、綿の悲しみはさらに増したように感じた。

「泣かないで」彼は眉をひそめ、綿が泣き続けているのを見て、心が痛んだ。

綿は頭を窓の外に向けた。輝明は綿の手をしっかり握り、アクセルを全開にした。

病院に到着すると、外はすでにメディアでいっぱいだった。

メディアは綿と輝明を見つけると、すぐに囲んできて質問を投げかけた。

「中の状況はどうなっていますか?」 「綿さん、おじいさんの体調はずっと良好でしたが、どうして突然心筋梗塞になったのですか?」

綿は質問に答える暇もなく、ただ早くおじいちゃんの様子を見に行きたかった。

しかし、綿が中に入ろうとすればするほど、記者たちに阻まれて動けなくなった。

「綿さんがこんなに悲しんでいるということは、おじいさんの状態が悪いのですか?」記者は核心を突く質問をした。

綿は歯を食いしばり、これらの記者たちはいつも混乱を楽しんでいるように見える。彼らはおじいちゃんの状況が悪くなることを望んでいるのか?

輝明は綿の感情の波動に気づき、彼女の手を握り、綿を自分の背後に庇った。そして耳元でささやいた。

「綿、泣かないで。記者た
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