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第0117話

輝明は綿の手をしっかりと握り返し、彼女に落ち着くよう合図を送った。

小林院長はマスクを外し、重々しい口調で話し始めた。「状況は良くありません」

その言葉を聞いた瞬間、綿は後ずさりした。輝明はすぐに彼女の腰を抱き寄せ、しっかりと支えた。

「どういうことですか?」盛晴の声は涙声で震えていた。

「患者はまだ救急処置中です。先ほどショック状態になり、安定していません。これは…危篤通知です」小林院長は書類を差し出し、「おばあさまがサインを求めています」

小林院長の言葉は爆弾のように楚绵の耳に響いた。

天河は声を抑え、冷静さを保とうと努めながらサインをしつつ質問した。「成功の見込みはありますか?」 小林院長は深いため息をつき、「確実なことは言えません」

この言葉は、まるでおじいさんに死刑宣告を下すかのように重かった。

綿の足元がぐらつき、輝明がすぐに彼女を支えた。彼女の脳裏にはおじいさんとの思い出が次々と映し出された。

天河は長椅子に座り込んだ。輝明はすぐに駆け寄り、「お義父さん、大丈夫ですか?」と声をかけた。

天河は手を振り、大丈夫だと合図を送った。

その時、救急室から「小林院長、早く来てください!」という声が聞こえた。

小林院長は不吉な予感を抱き、急いで救急室に戻った。

綿は小林院長が再び入っていくのを見て、胸が締め付けられるような思いだった。

綿は何かを思い出し、心臓を押さえながら輝明に言った。「パパとママをお願い。私は少し外の空気を吸っていく」

彼女はそう言い残して立ち去った。

輝明はその後、綿を見つけることができなかった。救急室の赤いライトが消え、手術室の扉が開くまで、彼女の姿はなかった。

小林院長と千惠子が出てきた。天河と盛晴、輝明はすぐに駆け寄った。

「母さん、大丈夫だった?」天河は心配そうに尋ねた。

千惠子は彼の腕を軽く叩き、心配しないように合図を送り、「大丈夫よ。病室に移して観察するわ。」と答えた。

「本当に大丈夫なの?」盛晴は再三確認した。

千惠子はうなずき、「本当に大丈夫」と力強く言った。

山助が救急室から運ばれてきた。天河は無駄話をせず、すぐに病室へと向かった。

輝明も最後に続き、その目線が救急室から出てくる白衣の女性に止まった。その姿は綿に似ているようだった。

輝明は眉をひそめ、
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