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第0079話

輝明はすぐに綿を自分のものにしたいという衝動に駆られた。

目に暗い光が浮かび、指の動きを強め、綿の口紅を少し乱してしまった。

微かな光が彼女の美しい顔に当たり、綿は眉をひそめて、小さな声で「ん…」と漏らした。

その柔らかく弱々しい声が、輝明の自制心を完全に失わせた。

彼は頭を垂れ、貪欲にキスをした。

自制心が強いが、綿の前では、その日バーでキスをした後、完全に防御が崩れた。

輝明は綿の顎を掴み、思う存分キスをしたくてたまらなかったが、彼女を起こすことを恐れた。こういう状況では説明が難しかった。

仕方なく、綿を離し、彼女の唇に触れ、軽くキスをした。

綿が輝明の肩に寄りかかり、彼の呼吸は重くなり、体は明らかに反応していた。

欲望を押さえ、森下を見上げて「森下、別荘に戻れ」と命じた。

森下は一瞬ためらった。「奥様を桜井家に送らないのですか?」

輝明は黙り込み、森下はその意思を理解した。

ついに奥様に対する気持ちが芽生えたのか?

輝明は綿を抱きしめ、つい再び彼女の背中の傷跡に目を向けた。

その傷跡を指でなぞり、凹凸のある肌に触れながら、考えずにはいられなかった。

この世に、本当にそんな偶然があるのか、同じ傷跡を持つ二人の女が存在するのか?

綿のタトゥーはいつ入れたものだろうか?

輝明は視線を上げ、低い声で「森下、一つ質問がある」と尋ねた。

「はい」と森下は頷いた。

口を開け、普段、森下が綿の背中のタトゥーに気づいていたかどうかを聞きたかった。

しかし、その質問をすると、どうしても奇妙に聞こえた。

綿の夫でありながら、妻にタトゥーがあるかどうかを他の男性に尋ねるのはどうかと思った。

しばらく黙っていたが、輝明は突然何かを思いつき、「俺が誘拐されたとき、綿は救助に来たか?」と尋ねた。

森下は眉をひそめ、よく考えて答えた。「あまり覚えていませんが、その日桜井さんはほとんど姿を見せなかった…多くの人が言っていました、普段は桜井さんがいつも坊っちゃんの後ろにいるのに、いざ問題が起きたらすぐに姿を消したって…」

その日はあまりにも混乱していて、あちこち忙しくしていたから、綿のことに気づかなかった。

高杉家だけでなく、横浜全体が混乱していた。

おばあさまは、「孫に何かあったら、横浜中の人間はタダでは済まないわ!」と言っていた。

「では
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