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第0087話

つまり、綿は茶屋のスタッフではなかったため、もし何か問題が起きても、茶屋側は一切の責任を負わないという意味だった。

「問題が起きたら、僕が責任を取ります!」と小林院長は厳しい顔で言った。

綿は思わず笑った。この院長は本当に信じているようだった。それなら、失望させるわけにはいかなかった。

綿はすぐに鍼灸道具を整えた。

彼女の針は一目で権威が感じられ、その威圧感は圧倒的だった。

小林院長はさらに綿の手元の針を注意深く観察した。この針……どこかで見たことがあるような気がした?

綿は小林院長を見上げ、既に腫れて紫色になった脚に手を当てた。

「始めますよ」

小林院長は頷いた。

綿は言葉を交わさずに一針を落とした。小林院長は激しい痛みを予想していたが、不思議なことに全く痛みを感じなかった。

彼はそれが偶然だと思っていたが、綿が次々と十数針を打っても、どれも痛くなかった。

これは本当に不思議だった!医院で何十年も経験のある医師ですら、針を打つときに全く痛みがないことなどありえなかった。

この小娘は、一体何者だった?

「まだ痛いですか?」と綿が小林院長に尋ねた。

小林院長は頷き、「全く緩和していません」と正直に言った。

その声を聞くと、周りの人々がまた議論し始めた。

「何だよ、すごいやつと思ったのに。ただのパフォーマンスじゃないか?」

「おいおい、やっぱり救急車を待とうよ」

「ここで一体何をやっているんだ」

嘲笑の中で、綿は躊躇せずに最後の一針を打った。これは重要な部位で、狂ったように動いている脚の筋だった。その針が落ちてから十秒も経たないうちに、小林院長の顔に驚きの色が浮かべた。

「痛くなくなりました!」と言った。

みんなが小林院長を見た。

痛くなくなった?

綿は唇を微かに上げた。彼女の鍼が効かないなんてことはありえなかった。

自分の針の腕に絶対の自信を持っており、そうでなければここには立っていなかった。

「長年立ち仕事で疲れたために脚が痙攣したんです。痙攣がタイミングよく治療されず、筋肉と神経が痙攣してしまったんです」と綿は小林院長がそうなった理由をゆっくりと説明した。

「もしタイミングよく治療しなければ、脚は完全にダメになってしまいますよ」

綿の言うことは正しかった。腫れて紫色になっているのは前兆で、血液が通らなければ問題
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