第 0317 話

一連の検査を終えると、すでに11時近くになっていた。

綿は小栗先生に休みを申し出て、車でおばあちゃんを送っていった。

美香がなんと一人でバスに乗って来たことに、綿はかなり驚いた。

しかし道中、綿はおばあちゃんに「これからは一人で出かけないでくださいね。特に誰も一緒じゃないと危険ですから」と注意した。

高杉家は名門であり、美香は社会的にも徳望が高く、威厳がある。もし悪意のある人が彼女を狙えば、一気に高杉家全体を脅かすことができる。

「そうね。以前はあなたがそばにいてくれたのに、今はいないわね」後部座席で、おばあちゃんは不満げな表情でスマートフォンをいじり続けている。

綿は後ろを振り返り、困ったように言った。「おばあちゃん、執事がいるでしょう？」

「執事なんて何の役にも立たないわ。ただの執事にすぎないし、私の孫嫁でも孫娘でもないもの、ふん」おばあちゃんはスマホをしまい、腕を組んでとてもご機嫌斜めだ。

綿は3秒ほど沈黙し、「とにかく、おばあちゃん、これからは一人で出かけないでくださいね、いいですか？」

美香は綿を見つめた。

信号待ちの間、綿は後ろを振り返って「え？」と尋ねた。

美香は答えない。それはつまり、彼女はまた一人で出かけるつもりなのだ。

「おばあちゃん、言うことを聞かないなら、もう私は面倒を見ませんよ」綿は仕方なく彼女を脅した。

美香は困ったように「わかったわ、おばあちゃん、もう一人で出かけないから」と言った。

綿は頷き、微笑んで「それならいいです」と答えた。

やがて高杉家の別荘に到着した。

美香は秀美夫妻と一緒に住んでいる。

高杉家の別荘はとても立派で、門を入ってから正門までかなりの距離がある。

綿の車が家に到着すると、別荘のドアがすぐに開き、執事が慌てて出てきて笑顔で「若奥様がお戻りになりました」と言った。

綿はおばあちゃんのために車のドアを開けながら、執事に向かって「お久しぶりです」と頷いた。

執事は軽く会釈し、二人の後ろについて家の中に入った。

綿は執事に「おばあちゃんの体調が良くないので、これから一人で外出させないでください」と念を押した。

執事は困ったように両手を広げ、「ああ、私もどうしようもありません。おばあさまは私たちの言うことを聞いてくださらないのです！」

「彼を責めないであげて」美香は水を一杯注いだ