第 0316 話

綿は眉をひそめた。

小栗先生は、まさか彼女を観察して、それから副主任に昇進させようとしているのではないだろうか？

「主任、ちょっと早すぎませんか？」綿は思ったことをそのまま尋ねた。

小栗先生は一瞬きょとんとして、「何が早いの？」

「副主任の件ですよ」綿は冗談めかして言った。

「何言ってるの、どんな副主任よ。あなたの経歴じゃ、まだまだ遠いわ！」小栗先生は綿を一瞥した。

綿はすぐに笑った。

ちょうどそのとき、診察室のドアが開いた。綿が資料を呼ぼうとしたとき、聞き覚えのある声がした。「小栗先生、再診に来ました」

綿が顔を上げると、そこには美香ではないか。

「おばあちゃん？」綿は驚いた。

美香も驚いて、「綿、あなたがいたのね」

綿はすぐに頷いて、「体の具合が悪いのですか？」と尋ねた。

「再診に来たのよ」美香は答えた。

「お一人で？」

「みんな忙しいから、私一人で来たの」美香はにこにこと笑った。

綿は彼女に椅子を用意しながらため息をついた。「家族も本当に不注意ですね。どうしておばあちゃんを一人で検査に来させるなんて、後で検査を回るのも大変なのに」

「じゃあ、あなたが一緒にいてくれない？」美香はすぐに顔を上げて綿を見つめた。

綿は困って、「おばあちゃん、私は仕事中なんです」

美香はすぐに小栗先生の方を見た。

小栗先生は検査項目を書き込んでいたが、突然熱い視線が自分に向けられているのを感じた。

綿は邪魔されたくないし、小栗先生にも迷惑をかけたくなかったので、「おばあちゃん、本当に仕事中なんです」と言った。

「綿。また私を拒むのね！」美香は鼻を鳴らして、とても怒った。

前回、彼女が一緒にアフタヌーンティーに行こうと誘ったときも、彼女は断った。

今回、一緒に検査に付き添ってほしいと言ったのに、また断られた。

綿は困惑した。

小栗先生は軽く咳払いをして、「行ってきなさい。お年寄りに付き添ってあげなさい。一人だと確かに大変よ」と言った。

「ありがとうございます、小栗先生！」美香はとても嬉しそうに笑った。

綿は仕方なく、従うしかなかった。

小栗先生は徐慧を呼び、綿は美香に付き添って検査に行った。

美香は七十歳を過ぎているが、心臓以外はどこも問題なく、とても健康だ。

彼女はいつもとても優雅な印象を与える。チャイナドレスはまるで彼女の