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第 0315 話

綿はエレベーターに急いで乗り込むと、誤ってメッセージを送信してしまったことに気づき、すぐに取り消しボタンを押し、階数を選んだ。

エレベーターが上がっていくと、秋年から再びメッセージが届いた。

秋年:「? 」

綿は鼻を触りながら、メッセージを返信した。「ごめん。送る相手を間違えちゃった」

秋年:「誰に送ろうとしたんだ?」

綿:「司礼よ。彼、玲奈とコラボを考えてるんだって」

秋年:「どんなコラボ?」

綿:「詳しくは知らないけど、たぶん会社のイメージキャラクターか、ジュエリープロジェクトみたいなことかな」

秋年は焦った。これって自分の企画と被ってるじゃないか?玲奈が司礼のプロジェクトを受けたら、自分の方の契約はどうなるんだ?

秋年:「綿、俺たちって友達だよな?」

綿は目を細めて、何を突然言い出すんだ?と思った。

綿:「いや、友達とは言えないかな」

秋年:「そんなこと言わないでくれよ!」

綿は彼を無視して、玲奈のマネージャーの連絡先を司礼に送り、「これは玲奈のマネージャーの連絡先よ。彼女にはすでに話してあるから、後で打ち合わせしてね」とメッセージを添えた。

すぐに司礼から返信が来た。「ありがとう! 成立したら食事をご馳走するよ」

綿:「気にしないで」

その間にも、秋年はしつこくメッセージを送り続けていた。「綿、一緒に食事しようよ。話したいことがあるんだ」

秋年:「綿! お前と輝明が離婚したけど、俺はさ……」

綿は秋年のメッセージを見るのが面倒になり、通知をオフにして仕事に戻った。

秋年:「!!!!」

玲奈とのコラボを直接お願いして断られた自分より、綿が簡単に道を開いたことに秋年はショックを受けた。

そして、彼は突然悟った。玲奈とのコラボを成功させるには、やっぱり綿に頼るのが正解だ、と。

「綿!」小栗先生が綿を呼んだ。

綿はすぐに返事をした。「はい、います!」

「今日は私と一緒に外来の診察に来て」

「了解です!」綿は急いで白衣を着て、小栗先生に従って行った。

エレベーターで階下に向かう途中、何人かの主任が小栗先生に挨拶をした。「小栗先生、副主任のポジションが空いてるって聞きましたけど?」

「どう? 移籍してくる?」小栗先生は珍しく冗談を言い、上機嫌だった。

「いやいや、私たちは行かないですよ」何人かが笑って言った。「心臓
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