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第 0325 話

病院。

綿が診療室に到着すると、桑原看護師があちこちで叫んでいた。「小栗先生、まだ来ていませんか?」

「綿先生、小栗先生を見ませんでしたか?」

桑原看護師は慌てた様子で、綿は状況が全く理解できずに戸惑った。「何かあったの?」

「患者が急に症状を発症して、徐先生が原因を特定できない」桑原看護師は焦っていて、もう限界のようだった。

綿は眉をひそめ、白衣を着ながら言った。「私が行くわ」

「え?」桑原看護師は驚いた顔で綿を見た。

「行くのよ」綿は桑原看護師の腕を引っ張り、現場に向かおうとした。

桑原看護師は小栗先生を見つけられなかったので、仕方なく綿を連れていくことにした。

病室に到着すると、入り口にはたくさんの患者の家族が集まっていた。

綿は周囲を一瞥し、「皆、ここに集まって何をしているの?まず全員外に出てもらって」と冷静に指示を出した。

須田先生は綿が来たのを見て、説明を始めた。「患者は手術を終えたばかりで、昨日のすべての指標も正常でした。でも、さっき急に心停止を起こしました」

綿は軽くうなずき、症状の確認に取り掛かった。

須田先生は一歩後ろに下がり、綿を見つめていたが、桑原看護師にも視線を向けた。「小栗先生は?」

「まだ見つからないんですけど……とりあえず綿先生に診てもらいましょう」桑原看護師は小声で答えた。

須田先生は口を開きかけたが、綿が診ても意味がないだろうと思っていた。

その時、患者の家族が病室に戻ってきた。綿が患者のそばにいるのを見た家族は、すぐに言い寄ってきた。「この人は誰だ?小栗先生はどこだ?うちの患者は小栗先生が担当しているんだぞ!」

「昨日は元気だったのに、なんで今日は急にこんなことになってしまったんだ!」

「もしうちの患者に何かあったら、あなたたちが責任を取るんだぞ、わかってるのか?」そう言いながら、その人は綿を軽く突き飛ばした。

綿は落ち着いて「ふん」と言っただけで、平静を保っていた。

「桑原、彼を外に出して」綿は桑原看護師に指示を出した。

患者の家族は驚いて、「俺を外に出せって?あんた誰だよ?どんな医者だ?最近、学位を買ったなんて話が出てる病院を信用できるわけないだろ?」

「妻に触るな!小栗先生だけに任せるんだ!」と彼は綿を突き飛ばし、彼女が近づかないようにした。

綿は目の前の男をじっと見つめ、その
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