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第183話

山崎が視界に入ると、里香の顔には怒りが浮かび、山崎は勢いよく里香に向かってきて、手を振り上げ、彼女の顔を叩こうとした。

「このクズ女!夏実を誘拐するなんて、どうしてそんなひどいことができるの?」

里香は瞳孔を縮め、すぐにその手を掴んで押し返した。「あなたは犬なの?人を見たら狂ったように吠えるなんて。狂犬病の予防接種を受けたほうがいいんじゃない?」

「この…!」

山崎は一歩よろけたが、すぐに体勢を整え、里香を恨めしそうに睨んだ。その瞳には、彼女を食い殺してやりたいほどの憎しみが滲んでいた。

「お前が雅之と離婚しないから、この泥棒猫が!二宮家の奥様の座を奪ってるなんて、恥知らずもいいところだ!」

里香はもともと雅之に対して怒りを抱えていたが、山崎が直接その矛先となった。

里香は冷たく言った。「私と雅之の結婚は法律で認められているわ。誰が第三者かは法律が決めること。これ以上私にちょっかいを出すなら、覚悟しておきなさい。私はもう失うものなんて何もないから、何も恐れないわよ!」

里香から放たれた強い気迫に、山崎は一瞬ひるみ、言葉を失った。

里香はさらに続けた。「それに、私は夏実さんを誘拐なんてしていないし、そんなことをするつもりもない。心変わりした男なんて、道端のゴミと何が違うの?私にはゴミをコレクションする趣味なんてないわ!」

「お前…!」

山崎は今にも気が狂いそうだった。里香に会うたびに、侮辱されるばかりで何も得られない。

その時、周囲に冷たい寒気が広がり、無形の圧力が人々を包み込んだ。みんなの精神が一瞬で引き締まった。

山崎が振り返ると、雅之が遠くに立っているのが見えた。彼は黒い手作りのスーツを身にまとい、その背の高さと鋭い雰囲気で、冷たく引き締まった顔でこちらを冷ややかに見つめていた。

明らかに、先ほどの会話を全て聞いていた。

山崎は雅之を見て、すぐに不満をあらわに言った。「彼女の言ったこと、聞いた?この生意気な女が、あなたをゴミ同然だって言ったのよ!」

雅之の表情はさらに暗くなった。

「病院で何を騒いでいる?」

雅之の冷たい声は、低く響いても全く温かみがなかった。

山崎は言葉に詰まり、「彼女が私を押したの」と言い訳した。

里香は雅之を見つめ、一歩前に出ようとしたが、ボディーガードに止められた。冷笑を浮かべた里香は、「どうしたの
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