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第184話

里香は眉をひそめた。

雅之は一体何を考えているの?彼女を邪魔し、電話にも出なかったのに、今さらエレベーターに入ってくるなんて。

一瞬考えた後、里香はすぐにエレベーターを降りようとした。

「何をするつもりだ?」

雅之の冷たい声が響いた。

「ゴミと同じ空間にはいたくないわ」

里香の返答に、雅之の眉がすぐにひそめられ、狭いエレベーター内に不穏な空気が漂った。雅之は無言で閉じるボタンを押し、エレベーターのドアはすぐに閉まった。里香が出ようとしたが、もう手遅れだった。

彼を一瞥し、里香はエレベーターの角に立ち、全身から疎外感と冷淡さを漂わせた。

以前は雅之が里香に会いたがらなかったが、今は里香が雅之に近づきたくなかった。

彼と一緒にいると、ただ気分が悪くなるだけ。

雅之は里香の表情に気づいたが、冷たい目で彼女の心情を探ろうとした。

「証拠はどこだ?」

「あんたのスマホに送ったわ」

「僕のスマホは電源が切れている」

里香は冷笑した。「じゃあ、電源を入れればいいじゃない」

雅之はじっと里香を見つめ、「今ナイフを渡したら、僕を刺すつもりか?」と尋ねた。

里香の目は冷たく光り、不快なほど露骨だった。

「もし殺人が罪にならなければね」

雅之の顔はさらに冷たくなり、エレベーター内の空気はますます重苦しくなった。里香は息をするのも苦しく感じた。

視線を落とし、里香のまつげがかすかに震えた。屋上での出来事を思い出し、彼女はつぶやくように言った。「雅之、離婚の手続きをしよう」

それは里香なりの妥協だった。もう彼とこれ以上関わりたくなかった。雅之が夏実を大切に思うなら、二人の関係には関与したくないし、意味がない。それよりも、平穏に生きたい。

しかし、雅之は何も答えず、エレベーター内の冷たい空気は重く沈んだままだった。

雅之が返事をしないので、里香は彼を見上げて何か言おうとしたが、その時、エレベーターのドアが開き、雅之は長い脚を踏み出して外に出て行った。

少し離れたところで、桜井の姿が見えた。雅之が桜井に向かって歩き出すと、里香は彼を追いかけ、「あんたは一体何を考えているの?」と叫んだ。

雅之は振り返らずに車に乗り込み、里香は素早くその手を掴み、車のドアが閉まらないように見張った。

雅之の冷たい視線が彼女に向けられた。「君が夏実を誘拐した。この件に
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