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第185話

里香の呼吸が少し重くなった。ちょうど、録音のことで確認しようと思っていたところだった。

「いいよ」

「今どこにいるの?迎えに行くわ」

里香が場所を伝えると、約15分後、一台の車がゆっくりと近づいてきた。窓が下がり、由紀子の整った顔が見えた。

「奥様、こんにちは」里香は礼儀正しく微笑んだ。

「乗って」

「顔色が悪いけど、ちゃんと休めてないの?」

里香が車に乗り込むと、由紀子はすぐに尋ねた。

「雅之の中毒事件でいろいろと忙しくて、寝る暇がないんです」

「実は、あなたがそんなことをするとは信じがたいけど、料理はあなたが作ったものだから、疑われるのも無理はないわね。警察に通報したから、きっと証拠を見つけてあなたの無実を証明してくれるわ」

「そうですね」

里香は頷き、あまり多くを語らなかった。

美容院に着くと、二人はそのまま個室に入り、技師の指示通りにベッドに横になった。

「この二日間、雅之に会いに行った?」

「行きましたけど、雅之は中毒のことで会ってくれません」

「あの子は今は信じられないだけよ。時間が経てば、自然に会ってくれるわ。焦らないで」

「はい」

里香は簡単に答えた。

その後、由紀子はしばらく黙ったままだった。夏実の誘拐の件についても一言も触れなかった。

里香は眉をひそめ、どうやってこの話を切り出そうか考えた。ここに来た目的はそれだったのだから、聞かないわけにはいかない。

少し考えた後、里香は口を開いた。「夏実さんが誘拐されたこと、ご存じですか?」

「何ですって?」由紀子は驚いた声をあげた。「夏実ちゃんが誘拐されたの?どういうこと?彼女は大丈夫なの?」

「彼女は無事です。雅之がずっと守ってくれました。でも、その二人の誘拐犯が、私が指示したと言って、録音まで提供してきたんです。それは私たちがレストランで話していた内容です」

由紀子は驚きを隠せない様子だった。

「どうしてそんなことに?里香、まさか私が録音したと思っているの?」

「奥様を疑っているわけではありません。ただ、誰かが私たちを狙っているんじゃないかと思って。私たちが食事していた個室に録音機が仕掛けられた可能性があると考えています」

「それは非常に深刻な問題よ。私たちが関わっているとなると、まるで私たちが夏実ちゃんを狙っているかのように聞こえるじゃない。本当に馬
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