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第178話

雅之の体が一瞬硬直し、涙で濡れた夏実の顔をじっと見つめた。彼女の顔は青白く、風で揺れるスカートの下からは義足が見えた。

雅之は喉をゴクリと鳴らし、しばらくしてから「わかった」と一言だけ呟いた。

夏実は瞬時に嬉しそうに微笑んだが、すぐに目を閉じてそのまま意識を失ってしまった。

雅之はすぐに彼女を抱き上げ、振り返って急いで病院へ戻った。病院のスタッフに冷たい声で指示した。「屋上を封鎖しろ!」

「はい…」

いつの間にか駆けつけてきた院長は即座に頷き、驚きの表情を浮かべながら手を振って指示を出した。「早く、施工チームに連絡して屋上を封鎖しろ。もし今後誰かが飛び降りたら、この病院はどうなっちゃうんだ?」

その頃には、東雲も里香を解放していた。

里香はゆっくりと立ち上がり、呆然としたまま、雅之が夏実を抱えて急いで去っていくのを見つめていた。

その瞬間、胸が引き裂かれるような痛みが走った。

里香は深呼吸し、あの録音と夏実の誘拐の真相を必ず明らかにしなければならないと決意した。

自分がやっていないことを、どうして自分に押し付けることができるのか。

さっき、東雲に無理やり跪かされた時、膝が痛かった。里香は屋上を離れ、エレベーターに乗って病院を後にした。

ここにいるのがもう耐えられなかった。息苦しささえ感じていた。

彼女はスマートフォンを取り出し、由紀子からの着信番号を見て、少し躊躇した。

あの録音は、由紀子が雅之に渡したものなのか?

でも証拠がない。直接問い詰めても、由紀子は絶対に認めないだろう。

どうすればいい?

どうやってこの件を調べればいいのか?

考えていると、スマートフォンが鳴り響いた。指が無意識に滑って、通話を受けた。

「もしもし?」

里香は急いでスマートフォンを耳に当てた。

祐介の笑い声が聞こえた。「早く出たね?まさか俺の電話をずっと待ってたの?」

里香は笑いながら答えた。「そうよ、祐介兄ちゃんは私の恩人だから、あなたの電話を待ってたの」

「どうした?急に甘えてくるなんて、お前らしくないな」

里香は思わず笑ってしまった。

確かに、今は少し甘えたい気分だった。

祐介に何度も助けてもらって、感謝の言葉が見つからなかった。

「恩人なんて大げさだよ。ご飯作ってくれればそれでいいよ。それに、スーパーの監視カメラの映像、手に入れた
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