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第11話

雅之が話すより先に、二宮おばあさんが怒り出した。

「離婚?いやいや、それは絶対にダメ!こんなに可愛い孫嫁を離婚なんてさせるわけにはいかないわ。おばあちゃんが許さないからな!」

二宮おばあさんは雅之の手を握り、老いた顔には不満が満ちていました。「もしこの子と離婚するなら、おばあちゃんは泣くわよ、本気で泣くわよ…」

そう言いながら、二宮おばあさんは本当に泣き出した。

突然すぎる出来事に、誰一人として反応できなかった。

雅之の目に驚きがちらつき、おばあさんが一層激しく泣き出すのを見て、このままでは体調を崩してしまうのではないかと心配になり、

慌てて慰めの言葉をかけた。「おばあさん、その話はなかったことにしよう」

泣き声は一瞬で止まった。「本当?」

「本当だよ」

「それでは、夜にこの子を家に連れてきて、家族に孫の嫁さんを紹介しないとね!」

二宮雅之は絶句した。

二宮おばあさんは甘えん坊みたいに、「約束してくれなきゃ、泣いちゃうわよ!」と脅してきた。

紀子は思わず微笑んだ。「おばあさんはこの子のことをとても気に入っていらっしゃるわね。雅之、結婚ってとても大切なことだから、よく考えておくといいわよ」

雅之は薄い唇を真っ直ぐに引き締めた。

さっきからずっとそばで見守っていた里香は、思わず胸がきゅんと締まった。面識もないおばあさんにこんなに可愛がられているのに、雅之は自分との離婚を考えているのだ。

あの女の子は一体何者なんだろう。記憶を取り戻したばかりの雅之が、そこまで魅了されるなんて。

雅之とあの女の子との間には、一体どんな過去があったのだろうと気になってしまう。

二宮おばあさんを落ち着かせると、雅之は里香に向かって言葉を発した。「行こう」

里香はまつ毛をぱちくりとさせ、二宮おばあさんに別れを告げた。「おばあさん、ゆっくりお休みください。時間ができたら、またお見舞いに伺いますね」

二宮おばあさんは里香を見つめて頷いた。「必ず来てね」

「はい」

里香の心はいつの間にか柔らかくなっていた。

こんなおばあさん、本当に可愛い!

病院を出た後、雅之は先に切り出した。「まだ用事があるだろ、ついてくんな」

里香はぽかんとした表情を浮かべていた。雅之は自分を家に連れて行きたがらない。そんなに家族に会わせたくないのだろうか。

「どうしても行かなくてはならないと言ったら?」

雅之は黒い瞳で里香をにらみつけ、「里香、これ以上わがままを言ったら、痛い目を見ることになるよ」と警告した。

里香はニヤリと笑い、「間違ってなければ、私たちはまだ離婚してないわよね?せっかく見つけた家族なんだから、妻に会わせるのも当然でしょ?それとも、私の代わりに他の誰かを紹介する気?」と尋ねた。

雅之は里香をじっと見つめ、突然微笑みを浮かべた。「いいよ、連れて行ってあげる」

突然態度が変わった雅之に、里香は呆然とした。

そして胸の中にかすかな希望が湧き上がった。両親に会わせることは、里香のことを妻として認めることを意味する。

まさか…

離婚を考えるのをやめたのかしら?

里香は必死に感情を抑え、雅之を見つめた。「私を騙さないでくれるよね?」

「そんなことしないよ」

その言葉を聞いて、里香は皮肉なの笑みを浮かべた。「それこそが嘘よ。実際には騙しているんじゃないの?」

雅之は黙り込んで、

振り向いて去った。

彼女は彼の背を見つめながら、「迎えに来るのを忘れないでね!」と大きな声で呼びかけたが、

相手は応えてくれなかった。本当に最低な男だと里香は唇を尖らせた。

それにしても、こんなに早く雅之の家族に会えるなんて、本当に嬉しいことだ。

家に戻った里香は、ドレス選びを始め、化粧を施した。鏡に映る気品溢れる美しい自分を見つめ、

きっと夫の家族に気に入ってもらえると自信満々だった。

里香はドキドキしながら鏡を見つめていたところ、スマホが鳴り始めた。スマホを手に取ってみると、雅之からの電話だとわかった。

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