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第17話

翌日。

午前10時。

里香の携帯電話が鳴りましたが、一瞥して無視した。

現場の工事担当の田中に現場の状況を聞きながら、里香は一つ一つメモに取った。

ようやく休憩を取れたのは昼休みだった。里香は水を一口飲んでほっと一息つき、すぐに携帯電話を取り出した。

未着信の電話が18件あった。

すべて雅之からのものだ。

はっ!

里香は軽く笑い、雅之に電話をかけようと思ったところ、19回目の電話がかかってきた。

「もしもし?」

「俺をからかっているのか?」

電話がつながると、抑えた吐息とともに寒気を帯びた彼の声が聞こえた。

もし今彼の前にいたら、おそらく里香は引き裂かれるだろう。

里香は軽快な口調で「人にからかわれる感じはどう?」と揶揄った。

記憶を取り戻し、喋れるようになったことを隠し続け、昔のように振る舞っている雅之。

里香に気づかれなかったら、いつまでこの芝居を続けるつもりだったんだろう?

手話で話しかける里香を見て、雅之はひそかに嘲笑っているのではないか?

こんなひどいことをされたのに、仕返ししないなんて。

里香はそんな性格ではない。

電話の向こうから重い吐息が聞こえ、里香の口角の笑みが少しずつ薄れていった。

「離婚の条件は、300平米のマンションを買ってもらうこと。それに加えて2億円の賠償金。マンションの名義を私に変更してくれたら、民政局へ行ってもいいわ」

言い終わると、里香は直接電話を切った。

里香がずっと憧れていた大きなマンションだ。二人で一生懸命働かなければ稼げないと思っていたが、離婚するだけで手に入れることができる。

ちっ...

こんなことなら、早くそうすればよかったのに。

里香は適当に食事を済まし、仕事に戻ることにした。

DKグループ、社長室。

電話を切られ、雅之は怒りが頂点に達し、笑い出した。

この女、気が狂ってるのか?

まさか、この僕をからかうなんて!

里香の冷静で無関心そうな口調を思い出すと、雅之はまたイライラしてきた。

昔の里香はこんな風ではなかった。

「トントン」

この時、桜井がドアをノックして入ってきた。

「社長、商業ビルに関する書類はすべてこちらにございます。以前の工事中にけが人が出てしまい、その家族が賠償金に不満を持っており、騒動が続いているようです」

雅之は書類を受け取り、読
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