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第8話

ここ数日、謹言は家にこもりきりで、千絵を一歩も外に出さなかった。

彼は千絵をじっと見つめ、決して彼女を外に出さなかった。

最初は冷静を保とうとしていた千絵も、次第に不安が募り、最後にはヒステリックになっていた。

彼女も、自分の結末がどうなるかを理解し始めていたのかもしれない。

警笛が鳴り響いた瞬間、千絵の顔色は一気に青ざめた。

私はその顔がますます青白くなっていくのを見つめていた。

彼女は立ち上がり、扉を開けて外に出ようとしたが、謹言に腕をつかまれて引き戻された。

「千絵、どこに行くつもりだ?」

謹言は微笑んでいたが、その目には恐ろしい怒りが隠れていた。

私は彼を見て、彼が本当に正気を失ったのだと感じた。

彼はどこからか私たちの昔の写真を引っ張り出し、毎日それを一枚一枚めくっていた。

そこにはかつての私たちの幸せや美しい思い出がすべて映し出されていた。

かつて、私たちは他人からも理想的な恋人同士として見られていたのだ。

謹言の表情はますます陰鬱になり、千絵に向ける目も冷たくなっていった。

「何をそんなに怖がっているんだ?」謹言は千絵の手を強く握り、彼女を部屋に引きずり込んだ。

「千絵、逃げようとしているのか?」

千絵の顔色は悪く、必死に謹言の手を握り返した。

「謹言、私が悪かったわ。どうか私を逃がして!」

「私は若くて、当時は何もわかっていなかったの。お願いだから、私を海外に逃がして。そうすれば捕まらないわ!」

千絵の顔は涙で濡れていたが、私は彼女が本当に悔やんでいるわけではなく、ただ恐れているのだとわかっていた。

自分のしたことが露見したら、待ち受けるのは悲劇的な結末だと理解していたのだ。

謹言の顔は冷たく、無表情で言った。

「千謹、過ちを犯したら、それを認めるしかない。逃げるつもりはないだろうな?」

階段から規則正しい足音が聞こえてきた。

ダダダ、ダダダ......その音が聞こえると、私は興奮を抑えられなかった。

ついにこの日が来たのだ。

「お願いだよ、謹言、私を逃して!」

「私のお腹にはあなたの子どもがいるのよ!」

千絵は焦り、必死に足を踏み鳴らしながら、謹言に懇願していた。

しかし、彼女
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