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第10話

私は自分が少しずつ消えていくのを感じていた。

母が私の遺品を持ち去ったとき、まるで謹言の魂が抜け落ちたかのようだった。

彼は毎日、私たちが一緒に少しずつ作り上げた家に閉じこもっていた。

彼は千絵の物をすべて捨てて、彼女の痕跡を消そうとしていた。

「昭子、帰ってきてくれ。千絵はもう追い出したんだ!」

「頼むから、僕に会いに来てくれ!」

謹言は酔いつぶれていた。

だが、私はもう彼に対して何の哀れみも感じなかった。

遅すぎた愛情など、草にも劣る。

彼の惨めな姿を見て、私は心の中でつぶやいた。謹言、今さらそんな姿を見せて、誰にアピールしているんだ?

彼は何度も飲み続け、ついには胃出血を起こしたが、それでも周りの制止を無視して飲み続けた。

「昭子、どうして夢の中でも君に会えないんだ?」

「まだ僕を責めているのか、だから一度も僕の前に現れないのか?」

謹言は家と全ての財産を、私の母に補償として渡した。そして、私が死んだあの廃工場で、何度も自分の手首を切りつけた。

「昭子、僕が死ねば、君に会えるのか?」

「許してもらうために、僕はここに来たんだ!」

その束縛から解放された私は、彼に背を向けてその場を去った。

後悔しても何になるというのだ?

謹言、私は絶対にあなたを許さない。

千絵の刑が執行された日、それはとても良い日だった。

母は私のために風水の良い墓地を選んでくれた。それは、次の人生で私が平穏無事であるようにという願いを込めたものだった。

「昭子、少し待っていてね、お母さんもすぐに行くから」

私は母の白髪と年老いた皺を見つめ、そっと風に乗って話しかけた。

「お母さん、もう悲しまないで。私は先に行って、新しい家を整えておくから」

「私は少し先に行くだけ。次の世では私が母親になって、あなたを守ってあげるよ」

雄太とその家族は私の母と共に、私の墓前に跪いた。

彼は目を赤くし、家族と共に深々と三度頭を地につけた。

「鈴木弁護士、これからは僕が真由美さんの新しい息子です!」

「安心してください。真由美さんのことは僕がしっかりと守ります!」

彼のその言葉を聞いて、私はようやく安心し、春風となって大自然の中へと消えていっ
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