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第6話

謹言は再び私の体を引き上げた。

前回と違うのは、今回の彼には以前のような冷静さがなかったことだ。

彼の手がそっと私の顔に触れる。

額、目、鼻、顎。

彼は手でなぞりながら、かつての恋人を思い出そうとしているようだった。

「昭子、どうして君なんだ?」彼は呆然とした様子でつぶやいた。

アスファルトに覆われた私の体は、もはや人間の形をしていない。さらに、顔には傷が刻まれていた。

もしかしたら、母親ですら私を見分けられないかもしれない。

「昭子――」外から母の声が聞こえた。

誰も止めることができず、彼女は駆け込んできた。

この場所には私以外にも遺体があったが、母は一目で私を見つけた。

そうだったんだ。私がこんな姿になっても、母は私を認識できるんだ!

「昭子、痛かったでしょう?母さんが、やっと見つけたよ!」

私は彼女の背中に寄り添った。「真由美さん、昭子は痛くないよ。もう悲しまないで」

娘を失った母にとって、この一年は、ただ無限の思いに駆られる始まりに過ぎなかった。

彼女は何度も手を伸ばし、私に触れたいと思いながらも、壊してしまうことを恐れて躊躇し、手を引っ込めた。

突然、母は立ち上がり、謹言に深々とお辞儀をした。

「真由美さん、どうしたんですか?」

母は彼の目をじっと見つめて言った。

「これまで私がどれだけあなたに迷惑をかけたか、ごめんなさい。どうか許してほしいの」

「あなたはもう結婚したと聞いているし、きっと色々と不都合もあるでしょう」

「でも、どうか昭子のために、彼女が本当に......」

母の声は涙で詰まり、言葉が出なくなった。

「どうか昭子の無実を証明してほしいの!」

謹言は黙って母を起こし、誠実な口調で言った。

「真由美さん、安心してください。僕が必ず証明します」

私は空中に浮かびながら、心が破裂するような痛みを感じた。

冷たい風が心の中に吹き込み、体中が震えるほど冷たくなっていく。

「謹言、どうかちゃんと見て!」私は静かに言った。

私のすべてが、あなたと千絵のせいなんだ。

母を見送った後、謹言は再び作業を始めた。

「顔に48箇所の傷があり、眼球は割れ、すべて死ぬ前に受けた鋭利な刃物
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