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第9話

正義がついに下された。

あの時の真実がついに明るみに出たのだ。

千絵は酒気帯び運転で人を轢き殺し、雄太は彼女の身代わりに過ぎなかった。

そして私は彼女の秘密を知ってしまい、アスファルトの池に突き落とされ、残酷に殺された。

千絵には死刑が言い渡された。

謹言は傍聴席に座り、冷ややかな目でそのすべてを見つめていた。彼の感情には一切の起伏がなかった。

私の母と雄太の家族は最前列に座り、涙を流していた。

私はそっと母に寄り添い、彼女がこれ以上悲しまないように願った。

「お母さん、もう泣かないで。私はこの結果に満足しているから」

私は正義と真実のために自分の命を捧げることを覚悟していた。それが私の一貫した信念だった。

だから、私は悔いはない。

「謹言、この恩知らずめ!」

判決が下った瞬間、千絵はついに耐えきれず、謹言に向かって罵声を浴びせた。

「昔はあれだけ私のために昭子を捨てたくせに、今になって彼女が死んだら後悔するなんて!」

「あなたが優柔寡断だったせいで、昭子は死んだのよ!」

「昭子は絶対にあなたを許さない!」

千絵の毒々しい罵倒に耐えきれず、謹言は無言で法廷を後にした。

彼は私たちがかつて一緒に暮らしていた家に戻り、ドアを開けた瞬間、背後から母の声が聞こえた。

「謹言、昭子が残したものを見せてもらってもいいかしら?」

謹言はしばらく沈黙していたが、最終的に母の願いを受け入れた。

私が亡くなった当時、ほとんどの私物は持ち出していたが、少しだけ残った物がまだ家にあった。謹言とのペアアイテムもいくつか残っていた。

私は母が私の写真や服、遺品に触れるのを見つめていた。彼女の年老いた手がそれらを一つ一つ撫でる姿は、深い愛情と未練を感じさせた。

「謹言、私から感謝の言葉を言わせてもらうわ」母は謹言の目をじっと見つめた。「昭子の無実を証明してくれて、ありがとう」

「これがあなたの義務だったとしても、私は感謝しているわ」

母の声は冷静だったが、どこかに強い意志が感じられた。

「でも、昔、あなたは昭子との絆を裏切った。それを昭子も知っているから、もうあなたと何の縁も持ちたくないだろう」

母の言葉に何かを感じ取ったのか、謹言は懇願した。
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