初恋に消された息子

第1話

夜10時、残業中の私に息子から電話がかかってきた。 少し驚きながら電話を取り、息子を安心させるために口を開こうとした瞬間、息子の弱々しい声が耳に届いた。 「ママ、もし太郎がいなくなっても、ママは元気でいてね。もう誰にもいじめられないでね」 「パパが欲しいって言ってたもの、太郎は届けられないよ。太郎、寒いし、痛いよ......」 「でも太郎、眠くなっちゃった。ママ、おやすみなさい。大好きだよ」 胸が一瞬で締め付けられるように痛み、嫌な予感が全身を駆け巡った。 不安で胸が張り裂けそうになりながら、必死に叫んだ。 「太郎！」 でも、返事は一つも返ってこなかった...... 「そうだ、位置情報！位置情報を確認しなきゃ......」 救世主を見つけたような気分で、独り言を呟きながら震える手で何度も画面を操作し、やっとの思いで位置情報ページを開いた。 星夜バーの入り口だった。 息子は血の海の中、命の気配を全く感じさせない状態で横たわっていた。 身体には無数の刺し傷があり、その光景は目を背けたくなるほど残酷だった。 血が服と混ざり合い、手にしっかりと握られていた白いバラは赤く染まっていた。 頭が轟音を立てるように混乱し、震える手で太郎の鼻に触れてみた。 一切の息遣いがなかった...... 私はその場に崩れ落ち、慌てて山田達也に電話をかけた。 長い呼び出し音の後、電話口から聞こえてきたのは、岡田結衣の不満げな声だった。 「誰？」 「達也はどこ？」 一瞬の間があった後、彼女は軽く笑いながらこう言った。 「ああ、お姉さんですか。達也さんなら星夜バーの206号室にいますよ。一緒に遊びに来れば？」 私は電話を切り、昔のように大事そうに息子を抱き上げた。 血が腕を伝ってポタポタと滴り落ちるが、それに気づく余裕さえなかった。 「こんなにたくさんの血、こんなにたくさんの傷、太郎はどれだけ痛かっただろう......」 気づけば、涙が静かに流れ落ちていた。 プライベートルームに近づくと、ひときわ耳障りな声が聞こえてきた。 「達也さん、太郎は来ないんじゃない？それなら私のバラはどうなるの？愛子さんが太郎をちゃんと教育してると思ってたのに、...