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第6話

宗久は私に背を向け、タバコを吸っていた。

床には吸い殻が散乱している。

私はソファに座り、手に持った写真を弄んでいた。

彼は少し疲れている様子だった。

「紗羅、君は一体何が欲しいんだ?」

「俺は君の言う通り、美琴と婚約を解消した」

「取締役会からはひどく叱られたよ」

日差しがオフィスに差し込み、手元の写真を照らした。

その写真は、大胆なベッドシーンが映っていて、宗久は一瞥しただけで目を背けた。

どの写真の女性も顔ははっきり映っていないが、男性は全て宗久だった。

宗久の愛人になってから、私はこっそりアパートにカメラを設置し、彼を夜通し誘惑し、彼とのベッドシーンを撮影したのだ。

同時に、自分には巨額の保険を掛けていた。万が一「事故」に見舞われることを防ぐためだ。

宗久は取締役会の支持に頼って社長になったので、彼には悪評が立つわけにはいかなかった。

宗久はまた一本のタバコを取り出し、火をつけた。

「俺は信じない。美琴が君の妹を殺したなんて」

「そんな馬鹿なことをする奴なんていない」

「美琴は気が強くて乱暴だが、少女を殺すようなことはしないはずだ」

私は淡々と、苛立つ宗久を見つめていた。

最初は私も信じていなかった。

だが、紗奈が揉めている映像を見て、そして自ら冷たい紗奈の遺体を抱きしめた時、私は信じたのだ。

この世の中は理不尽なものなのだ。

宗久は目を細め、危険な視線を私に向けた。

「今回の婚約解消は美琴を守るためだ。もしお前が彼女に危害を加えようとしているとわかったら……」

私は無表情でスマートフォンを宗久の前に差し出した。

宗久の声が一瞬で途切れた。

スマートフォンの画面には、見知らぬ番号から送られてきた血塗れの写真が映し出されていた。

それだけではなく、少女がもがき、泣き叫ぶ映像まで送られてきた。

映像の中心には、美琴が笑いながら熱湯の入った缶を持ち上げ、あるところにそれを注いでいる姿があった。

私の妹は瞬時に心を引き裂かれるような悲鳴を上げた。

「痛い!痛い!お姉ちゃん助けて!」

その絶望的な叫び声が耳元でこだまし、私は鳥肌が立ち、力が入らなくなった。

耐えきれず、ソファに座り込ん
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