共有

第4話

みんなすぐに口と鼻を押さえたが、それでも吐き気を抑えきれなかった。

「なんでこんなに臭いの?まるで何かが死んだみたい!」

橘美咲は少し嫌そうに言った。

桜井涼は眉をひそめながら、さらに奥へ進んでいった。

地下室はまだ真っ暗だったが、私はもう怖くはなかった。

暗闇は何も怖くない、人間こそ最も恐れるべきだ。

一束の光がドアから地面に射し込んでいた。

彼らはゆっくりと歩を進め、秘書がそばのライトを点けるまで進んだ。

突然の明るい光に、桜井涼は思わず目を細めた。

一方で橘美咲はすでに驚きの叫び声を上げていた。

「ああっ!」

彼女は震えながら近くを指さし、目には恐怖がいっぱいだった。

でも、その演技はあまりにも不自然だった。彼女の口元はすでに笑みをこらえきれず、少し上がっていたからだ。

桜井涼は橘美咲が指さす方向を見て、一瞬、呆然とその場に立ち尽くした。

どうして私が自分の死体だと気づかないはずがあるだろう?

ただ、その死体は失血があまりにも多く、すっかり干からびていて形が崩れていた。

服はほとんど骨だけになった体にだらしなくぶら下がっていた。

よく見ると、皮膚の何箇所はすでに腐敗して崩れ落ち、蛆虫がゆっくりと蠢いている。

地面にはすでに凝固した血痕が広がり、

まるで死体の周りに暗赤色のカーペットが敷かれたかのようだった。

その恐ろしくて怪奇な光景を、私はもう一度見る勇気がなかった。

「桜井社長、川崎さんの遺体はどう処理しますか?警察を呼びますか?」

秘書が少し不自然な様子で口を開いて尋ねた。

しかし、桜井涼はじっと死体を見つめたまま、しばらく何も言わなかった。

秘書がもう一度問いかけたところで、ようやくゆっくりと口を開いた。

「警察を呼ぶ?これはきっと川崎いずみがどこかから探してきた死体で、俺を脅かそうとしているだけだ!」

「社長、こちらが川崎さんですよ!」

桜井涼は冷たく死体を見つめたが、近づくことはなかった。

「川崎いずみはいつも目的を達成するまで諦めない女だ。こんな簡単に死ぬはずがない。今頃陰で俺を笑おうとしているに違いない!」

彼の目には、私がすることすべてが何かしらの目的を持っているように映っていた。

私と桜井涼が出会ったのは偶然の出来事から始まった。

1年前、学費を稼ぐために私はホテルでウェイターをし
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status