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第6話

ゴン!

武器が私の頭に激しく当たり、一瞬で意識を失った。

次に目を覚ましたとき、頭上には真っ白な天井が広がっていた。

無理やり体を起こそうとした瞬間、そばに駆け寄ってきた高木尋に止められた。

「動くな!頭の傷が開かないように気をつけて!」

私は周りを見渡して、自分が病院にいることに気づいた。

しかし、すぐに桜井涼のことを思い出し、焦って高木尋の袖を掴んだ。

「桜井涼は?彼は大丈夫なの?」

高木尋は仕方なくため息をつき、私の手を軽く叩いて言った。

「安心して、彼は元気だ。どうして今でも彼を気にかけてるんだ?」

でも私はどうしても彼のことが気になって、彼に会いたい気持ちを抑えられなかった

高木尋は仕方なく、私をある病室の入り口まで連れて行ってくれた。

けれど一目見ただけで私の心臓は大きく締めつけられ、呼吸が苦しくなった。

ドアの隙間から見えたのは、桜井涼が橘美咲のベッドのそばに座り、お粥を一口一口優しく食べさせている姿だった。

彼の愛おしそうな表情が、私の心に深く刺さった。

彼は優しく橘美咲の顔を撫でながら言った。

「美咲、どうしてそんなに無茶をするんだ!自分の腕で直接防ぐなんて、痛くなかったのか?」

「痛くないよ!あなたを守れるなら、死んでも構わない!」

「ありがとう、美咲!私は絶対にあなたを裏切らない!」

二人がしっかりと抱き合う姿は、まるで錆びたナイフのようで、一刀一刀が私の心を切り裂いた。

私はほとんど力を失い、よろめきながら後ろに倒れ込んだ。

顔に何かが滑り落ちるのを感じた。

手で拭うと、なんと少し塩辛い涙だった。

高木尋は急いで駆け寄り、私を助け起こして何があったのか尋ねた。

でも私は目を閉じて、彼に言った。

「高木尋、私をここから連れて行って!」

彼は私を自宅に連れて行き、ほぼ1週間看病してくれた。

その間、桜井涼は一度も連絡をよこさず、私を探しもしなかった。

その後、私は高木尋に感謝するためにレストランで食事をおごったが、

しかし、偶然にも桜井涼と橘美咲に出くわしてしまった。

不意に、私は彼と目が合った。

すぐに視線を逸らし、何事もなかったように装いながら、向かいの高木尋にそっとティッシュを渡した。

彼らは私たちの隣に座った。

「いずみお姉さん、ここで何してるの?このイケメンは誰なの?」

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