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第50話

丸山英利が美緒を見るなり、まるで待っていたかのように直接彼女をオフィスに呼び込んだ。

「まずはカーテンを閉めましょう」

彼は事務机の横にある百葉窓のカーテンを指差した。

美緒は振り返ってカーテンを閉めると、外からの好奇の視線を感じた。

これは……

カーテンを閉めて戻ってくると、英利はすでに封筒を取り出し、それを彼女の前に投げつけるように置いた。「これを見てください」

疑問を抱きながら、美緒は封筒を開けると、中には弁護士からの書簡が入っていた。新崎哲也が本当に彼女を訴えたのだ。

軽蔑の笑みを浮かべながら、彼女はそれを適当に眺めて折りたたみ、まるで問題ないかのように扱った。

英利は彼女の反応を注視していたが、あまりにも冷静な様子に我慢できずに言った。「相手方が既に弁護士書簡を会社に送ってきています。この件についてどう思いますか?」

「申し訳ありません。会社に面倒をかけてしまって。この件は私で処理させていただきます。仕事には影響ありません」

「……」英利も困った様子だった。

人事の立場から言えば、彼は本来美緒のような人を採用しないはずだ。あの日、由紀は少し過激だったかもしれないが、言っていることは間違っていなかった。

経歴も実績もない上に、抱えている問題も多い。そのような人材を採用するのは、会社にとって適切ではない。

しかし、山田社長の指示があり、上から命じられているのだ。受け入れるどころか、しっかり面倒を見てくれって言われた。自分は従業員に過ぎず、何も言えないのだ。

「今のところ、相手方は弁護士書簡を送ってきただけですが、今後は我々の会社も一緒に訴えられる可能性があります。ただし、新生は恐れないです。弁護士チームを持っているので、早期解決を図りたいと思います。評判への影響を最小限に抑えたいですからね。ご理解いただけますか?」

美緒は頷いた。「わかりました。会社に迷惑をかけてしまい、本当に申し訳ありません」

英利は溜息をついて言った。「さあ、大西課長のところに行ってください。大西課長も話があるようです」

「はい」立ち上がると、彼女は行こうとしたとき、英利がまた彼女を呼び止めた。「そうそう、大西課長は気性が荒いですが、能力と手腕がありますからね。もし厳しいことを言われても、気にしないでください」

「分かりました」

部屋を出ると、外からの
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