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第20話

リーダーを立てて、その人は一歩前に出た。「水野研究員、私たちも命令に従っているだけです。不満があれば、社長に相談してください。社長がどう言うか、我々はそれに従います!」

「いいわ、私が怖がると思っているの?」

その人の顔をじっと見つめながら、美緒はスマホを取り出し、彼の前で哲也に電話をかけた。

電話はなかなかつながらず、つながっても誰も話さなかった。

美緒は分かった。哲也は自分に仕返ししているのだ!

自分が電話に出なかったことへの復讐として、こんな手を使っている。

彼は、これで自分が挫折し、屈服すると思っているのだろうか?

美緒の前に立つ男は、得意げな笑みを浮かべ、彼女の電話が繋がらなかったことを見透かしているようだった。

「水野研究員、あなたのアシスタントはもう1時間以上社長を探しています。このまま時間を無駄にするのは意味がないです。我々には時間がたくさんあります。機密情報であれば、それは会社の機密でもあります。社長を信じて、我々に渡してください。我々はしっかりと保管しますから!」

「社長は本当に思慮深いですね。」

電話を切り、彼女は冷たく笑い、少し頭を傾けて言った。「直美、彼らに渡して」

元々、必死に抵抗していた直美は、彼女の言葉を聞いて、顎が落ちるほど驚いた。

「水野さん、それらは私たちの心血で、とても大切なものです。彼らが突然全部持っていくのは、何か企んでいるに違いありません!」

美緒も分かっていた。哲也は自分を警戒しているので、すべての資料を持ち去ろうとしている。もし揉め事になったり、仲違いしたりすれば、彼は綾子こそが新若の功労者であり、すべての製品の開発者であることを証明するための十分な資本と証拠を持っているのだ。

「彼らに渡して!」彼女は目を瞬きもせずに、声を上げて言った。

「この同僚の言う通り、機密情報は会社のものです。社長が必要としたら、当然渡すべきです」

直美は不満だったが、美緒が言うので、仕方なく落ち込みながら鍵を取りに行った。

美緒を見つめても、彼女が考えを変えようとする様子は全くなかった。直美は困惑し、聞きたかったが我慢した。

全ての資料はかなり厚く、山積みになっていた。彼らは全て運び出し、外には車が待っていた。すべてのものを運び終えると、さらに資料室の鍵まで持っていった。

「全部持っ
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