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第2話

こんな偶然があるはずがない。

どうして村全員が精神病なんてことがあるんだ?

全員が法の裁きを逃れるなんて。

警察署で、俺はあの男と対面した。

彼はカルテを俺の顔に投げつけ、全く動じない様子だった。

「俺の名前は山田太郎だ。これが俺のカルテだ、ちゃんと名前を見ておけよ」

俺は怒りを抑え、拳を握りしめた。

回復したばかりの妻がそのカルテを拾い上げて中を確認すると、確かに精神病の記録があった。

妻は耐えられず、頭を抱えて泣き出した。

俺は抑えきれず、一歩前に出て奴の襟を掴み、膝に叩きつけた。

「お前らは人間じゃない! 俺の大事な娘を殺した!」

「お前らみたいなクズは、さっさと死んでしまえ……」

警察は俺の速さに驚き、奴が血まみれになったところでようやく俺を止めに来た。

山田太郎は倒れたが、すぐにふざけた表情を引っ込め、血を拭いながら挑発した。

「もっと強く殴れよ。できるなら俺を殺してみろ!」

「お前、知らないだろうけど、あいつが助けを求めてきた時は本当にうるさかったよな。けど、男が増えれば、すぐに静かになるんだよ」

「お前の娘が死んでなかったら、次のターゲットを探してたところだ」

その言葉は、俺の怒りに油を注いだ。

俺は警察を振り払い、奴に殴りかかった。

奴は避けなかった。

だが、次の瞬間、腰に強い電流が走り、俺の体は動かなくなった。

倒れ込みながら、必死に立ち上がろうとした。

ダメだ、俺は倒れるわけにはいかない……

俺の麗ちゃんが、まだ俺を待っているんだ……

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