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第9話

俺の言葉に驚いた周囲の人々は、次々にスマホを取り出して撮影を始めた。

二人は痛みで俺を離したが、俺の顔を見た途端、気持ちが複雑になった。

「お前は何者だ?どうして俺たち家族の仲を引き裂こうとする?」

「余計な口出しはやめろ!俺たちの家のことは、俺たちで決めるんだ!」

村のリーダーだけあって、太郎は素早く反応し、俺に問いかけた。

「本当にこの子がお前たちの家族だって言えるのか?」

俺は冷笑を浮かべ、「じゃあ、彼女の名前や誕生日を正確に言ってみろよ」と言った。

「上野雪だ」

二人は自信なさげに反論した。

少女はそれを聞くと、すぐに自分のICカードを取り出して俺に見せた。

俺は彼女に目で合図し、周囲の人にも見せるように示した。

少女は完全に混乱していたが、俺の言葉を信じ、カードを周りの人々に見せて回った。

「これって人さらいじゃない?こんな堂々とした誘拐なんてあり得るか?」

「早く警察を呼べ!早く通報して!」

罵声が一斉に飛び交い、三人は状況が悪いと判断して、ワゴン車に乗り込んで逃げようとした。

俺はすぐに一歩前に出て彼らを止め、笑いながら言った。

「さっきは『覚えてろ』って言ってたのに、なんで今逃げようとしてるんだ?」

彼は父親の決意を見違った。

三人は俺に正体を暴かれ、激怒した。太郎は慌てて車に飛び乗り、俺を押しのけて逃げようとした。

だが、それができるわけがない。

俺がどうして彼を逃がすものか。

すぐに彼の手首を掴み、力強く引き下ろした。

群衆も車の周りを囲んでいた。

太郎は地面に叩きつけられ、俺は彼の首をつかんで力を込め、一発また一発と彼の顔に拳を叩き込んだ。

彼は手を伸ばして反撃しようとしたが、俺の足で完全に押さえ込まれて動けなかった。

顔を殴るだけじゃ俺の気は収まらなかった。

彼を引き起こして、ワゴン車に向かって強く投げつけた。

友太と顕裕は俺の戦闘力を知っている。

俺が命知らずで太郎を叩きのめす姿を見て、二人は恐怖に駆られ、逃げ出したが、群衆に囲まれ捕まった。

「どこに逃げるんだ?お前ら人さらいは、街中で打ち殺されても文句は言えないぞ!」

「もう警察を呼んだから、じっくり罰を受けてもらうぞ!」

その言葉を聞いて俺は正気に戻り、太郎を殴る手を引っ込め、被害者の少女に無邪気な目を向けた。

「さっき、
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