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第4話

俺が呼んだ病院の救急車が先に到着した。

多分、交差点にいる太郎は驚いていただろう。

驚いていたのは太郎だけじゃない。地面に座っていた老人も、救急車から降りてきた人たちを見て呆然としていた。

「立てますか?」

医者は長い間老人が返事をしないので、何か異常があるのかと、担架を用意した。

女の子はその時、親切心から言った。「彼は動けないみたいです。家族もいないって言ってたので、私が付き添います」

「じゃあ、まず病院に行きましょう」

男性の医者は素早く動き、プロの手際で老人を担架に乗せようとした。

その瞬間、老人は急に怯えた様子を見せ、慌てて担架から飛び降りた。

「いや、大丈夫、大丈夫!ありがとう……」

老人は言葉も終わらないうちに急いで逃げ出してしまった。

残された人々は、空っぽの担架と地面に転がった道具をただ見つめるばかりだった。

「これは当たり屋だな」

医者がそう言い、女の子に事情を聞いた後、肩をポンと叩いた。

「善良であることは悪くない。でも、どんな車にも乗らないように気をつけなさい。今は悪い奴が多いからね」

女の子は驚き、すぐに医者に感謝した。

もし俺があの男が倒れた瞬間に警察に通報していなければ、彼女も村に連れて行かれていただろう。

俺はほっとして、撮影した動画をネットにアップロードした。

だが、家に帰ろうと振り返った瞬間、太郎の車が音もなく俺の後ろに停まっているのを見つけた。

ドアが開くと、俺は誰かに引きずり込まれた。
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