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第4話

「それで、私が弁護士を雇った理由、わかってるの?」

私は目を閉じ、深く息を吸い込んだ。「高橋翔太、最初から最後まで私は本気で離婚したいの。だけど、あんたが勝手に思い込んでるだけでしょ。私があんたみたいな歪んだ木にしがみついて、離れられないって

それと、ついでに中村直樹にも伝えておいてね。

午後、区役所で会いましょう」

電話の向こうから、しばらく何の反応もなかった。

でも、そんなのはもうどうでもいい。私の言いたいことは、十分に伝わった。

電話を切ろうとした時、突然向こうから怒鳴り声が響いてきた。「遥!お前、本気で俺とこんなふうに死に物狂いで戦うつもりか!

何度言えば分かるんだ、救助は俺の仕事だ!

唯はあんなにも酷い目に遭って、怖くて眠ることすらできないんだぞ!友達として二日くらい付き合うのが何だって言うんだ!」

そう言った途端、電話越しに佐藤唯のかすかなすすり泣きが聞こえてきた。

「翔太くん......やっぱり直樹くんと二人とも帰ってください。私、一人でも大丈夫だから......」

「遥お姉ちゃんも静香お姉ちゃんも、今は子供を身ごもってるんだから......」

「もし、私のせいで二人に何かあったら、私、一生自分を許せないし、二度と顔を合わせる資格もなくなっちゃう......」

高橋翔太は、いら立った声で言った。

「唯、あいつの戯言なんか気にするな。今一番大事なのは、ちゃんと休んで、また元気を取り戻すことだ。他のことは全部俺たちに任せてくれればいい

それに、あいつが出産する時にはちゃんと帰るつもりだよ。

ここ数日、血が出るだの何だのって騒いでるけど、実際は何も起きてないんだよ。全く、いい加減うんざりだよな。いつも大袈裟にして、毎日俺の顔に泥を塗りやがって!」

何もないだと......

私は思わず苦笑し、顔が青ざめていくのがわかった。電話を切った。

妹も横で全部聞いていた。

「お姉ちゃん、泣きたいなら泣いていいよ」

涙を流しながら、静香はそっと私を抱きしめた。「泣けば少しは楽になるよ。それで元気を出して前を向こう。あんなクズに負けちゃダメだよ!

離婚したら、一緒に旅行に連れて行ってあげる!」

「うん......」

私たちはお互いに涙を拭いながら、苦笑いし、同時に心が痛んだ。

そして、そんなに時間が経たないうちに、佐藤唯のツイートがまた更新された。

また一枚の写真だった。

高橋翔太が裸のままキッチンで料理をしていて、中村直樹がその料理をテーブルに運んでいた。

警察の制服シャツはいつも通りベルトの中に入っておらず、襟元も大きく開いていて、あちこちに赤い痕が生々しく残っていた。

その様子は、まるで誰かに見せつけようとしているかのようだった。

「まさか、あの三人が......?」

妹の表情は驚愕と嫌悪が入り混じっていて、そのまま本当に吐いてしまった。

私も吐き気がこみ上げてきた。

けれど、畜生は人間とは違って、羞恥心なんてものはない。思うがままに、好きな場所で好き勝手に交尾するんだから。

その時、妹の携帯が再び鳴った。

「今からお前に10分やる、川崎静香。すぐにネットで縁を切るための声明を探して書け!」

中村直樹はまるで犯人に命令するかのように言い放った。

「書き終わったら写真を撮って俺に送れ。二度とお前の愚かな姉とは関わらないことを約束しろ。わかったか!

お前が妊娠してなかったら、今すぐにでもビンタしてやりたいくらいだ!」

妹は怒りで携帯を投げつけたくなった。

だが、中村直樹は応答がないことにさらに苛立ち、声を荒げて叫び続けた。「聞いてるのか?お前、耳が聞こえないのか、死んだのか!答えろ!」

「ふざけんな!お前もあいつも畜生だ!」

私は妹の携帯を奪い取り、ついに我慢できず、まるで喧嘩腰のように怒鳴り返した。「そんなに奴隷みたいに尻尾振ってるのが好きなら、さっさと離婚しろよ!そしてお前ら三人でどうぞご勝手に!ベッドの上で死んでくれても誰も気にしないわ!」

そう言うと、私は電話を勢いよく切り、すぐに彼をブラックリストに追加した。

ふざけんな!

何度も何度もバカな男どもに甘い顔を見せやがって!

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