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第008話

突然の出来事に、誰も彼を止められなかった。

私の遺体はすでに変形し、花で囲まれていても強い死臭を放っていた。

遼はそれに気づかないかのように、突然私の指を掴んだ。そこには彼が「安っぽい」と言った指輪がはめられていた。

もう一つは彼の手にあったが、恥ずかしがって一度も身につけたことがなかった。

彼は泣きながら笑っているようで、地面に崩れ落ち、呟き続けた。

「葵、お前は残酷だ。まさか死をもって俺を罰するとは」

葬儀での黒井遼の様子がネット上で大きな話題となり、彼は家に引きこもり、人との面会を断った。

私は彼がゴミ箱から取り出した料理を一つ一つ機械的に口に運び、飲み込むのを見ていた。

いくつかの料理には、彼が割った花瓶の土がついていたが、彼は気づく様子もなく、食べながら小声で愚痴をこぼした。

「葵、どうしてまだ戻ってこないんだ?俺の料理を作りに」

私は宙に浮かびながら、この状況が理解できずにいた。

私の死後、遼は突然私を愛し始めたのだ。

かつてのホステスは、今や赤ワインのように鮮やかなバラとなり、彼の心に刻まれ、日々安らぎを奪っていた。

彼は毎晩酒に溺れ、胃に穴が開いて病院に運ばれた時でさえ、顔には笑みを浮かべていた。

「葵、やっとお前の気持ちが分かったよ。早く戻ってきてくれ」

彼は空気に向かって哀れっぽく懇願し、顔には少し不満げな表情を浮かべた。

「葵、どうして酒を飲んでもお前に会えないんだ?」

黒井家の株価が大暴落し、株主たちは彼の会社経営能力を疑問視し始めた。

だが遼は、かつて私が餌をやっていた路地裏の野良犬に餌をやることに夢中で、外の世界で巻き起こる嵐など気にも留めなかった。

野良犬は彼が持ってきた高級ドッグフードには見向きもせず、ただ彼の首に巻いたマフラーを咥えた。

それは去年の冬、私が遼のために手編みしたマフラーだった。彼はそれを粗末に扱っていたのに、今や真夏にもかかわらず首に巻き、いつも場違いな格好をしていた。

犬はマフラーを咥えたまま、慎重に空いたスペースを作り、遼が取り返せないようにした。

愛とは独占欲。犬でさえ遼より愛し方を知っていた。

「遼さん、私が何か間違ったことをしたの?」

濑岛清花は遼の冷淡さに耐えられず、おずおずと彼を見つめた。

しかし遼は疫病神でも見たかのように、慌てて距離を取った。

「清
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