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第004話

私は空中に浮かびながら、彼の醜態をすべて目の当たりにした。胸に苦い思いが込み上げてきた。

黒井遼、かつてあなたのためにいつでも待機していた電話は、もう誰も出ることはないのよ。

黒井遼は接待に忙しく、数日続けて濑岛清花の食事の誘いを断っていた。

食卓を囲む者たちは皆、世慣れた人ばかり。遼の周りをうまく立ち回り、はっきりとした話は一つもなかった。

「もう10時近いのに、奥さんから電話で居場所確認がないなんて珍しいですね?」

一人が遼に冗談を言った。遼のビジネス仲間は皆、彼の家に厳しい妻がいて、9時になると必ず電話をかけてくることを知っていた。

これを思い出し、私は思わず苦笑してしまった。こんな私では、遼に嫌われるのも無理はない。でも、なぜ私の子供の命まで奪わなければならなかったの?

遼はグラスを持つ手を止めた。私に監視されていた日々を思い出したのだろう。しかし、珍しいことに嫌悪感を見せなかった。

「妻が拗ねているんだ」

遼は軽く笑ったように見えた。きっと私の思い違いだろう。

食卓の人々は彼の周りに集まり、妻をなだめる秘訣を伝授し始めた。本題は全く話し合われなかった。

結局、遼は吐くほど飲み、商談はまとまらず、役立たずの経験ばかり学んで終わった。

しかし、彼は少しも不機嫌な様子を見せず、むしろ遠回りして大学通りのあの栗屋で私のために栗を買ってきた。

昔、付き合っていた頃は、私が頼んでも様々な理由をつけて断っていたのに。

「葵、栗を買ってきたぞ」

彼は袋を持って家の中をふらふらと歩き回り、なかなか私の姿を見つけられなかった。

しばらくすると、彼の忍耐は尽きたようだ。栗の入った袋を床に投げ捨て、栗を散らばらせたままにした。

電話の音が鳴り、静寂を破った。

遼の顔に笑みが浮かんだが、すぐに表情を引き締めた。

「葵じゃないのか?」

彼はとても落胆したように見え、無表情を装った。

「藤原さん、こんにちは。奥さんがあなたの連絡先を残していました。10周年記念パーティーは予定通り行われるのでしょうか?」

私が亡くなる前は本当に、彼との10周年を心待ちにしていた。しかし今となっては、生と死が二つに分かれてしまった。

遼はしばらく沈黙した。彼が断るのは目に見えていた。

「予定通り行います。最高級のプランにグレードアップします」

私は驚きのあ
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