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第25話

北條義久はこの上原太公の気性の荒さを知っており、怒らせるわけにはいかなかった。「お爺様、どうかご安心ください。今日あなたをお招きしたのは、この二人の件をはっきりと処理するためです。どうかお落ち着きください」

上原世平も傍らで祖父を宥めた。「もうすぐさくら姉さんが出てきます。まず彼女の話を聞きましょう。全てを彼らの一家に決めさせるわけにはいきません」

太公は怒って言った。「何があろうと、北條守が一年出征して、我が家のさくらが一年間彼のために貞節を守り、舅姑に仕え、義理の兄弟姉妹を大切にし、家事を切り盛りしたのだ。こんな仕打ちをする権利など彼にはない」

「ご老人、どうかお静かに。皆が揃うまでお待ちください」北條守は冷ややかに言った。

近所の人々を呼ぶわけにはいかなかった。将軍家の隣は全て官邸で、官員を呼んで離縁の証人にするのは自分の前途に害があるからだ。

本来なら守は戸籍を管轄する役人を呼んで、ついでに離縁状に印を押してもらおうと思っていた。しかし、離縁状を出した後で自分で役所に持っていけばいいと考え、多くの人に証人になってもらうのは避けたかった。

将軍家側も、年長者たちを全て呼んでいた。

守の祖母は早くに亡くなっていたが、分家の大叔母はまだ健在だった。分家はここ数年、あまり有能な人材を輩出していなかった。一人だけ官職に就いたが、閑職で、北條義久や北條正樹とあまり変わらなかった。

しかも、両家はとっくに別々に暮らしており、年中行事や冠婚葬祭の時だけ付き合う程度だった。

今回、大叔母は年長者として招かれた。招かれた時、守が妻を離縁しようとしていることを知り、密かに驚いた。

こんな時期に離縁するなんて、自ら前途を潰すようなものではないか?

しかし、すぐにその理由を理解した。上原氏一族はすでに没落し、かつて北平侯爵がどれほど輝かしい戦功を立てようと、今や侯爵家には後継ぎさえいない。

昨日の栄光は土となり、一方の琴音将軍は朝廷初の女性将軍で、太后の目にも留まっている。今上陛下は孝行な明君だ。琴音はきっとさらに出世するだろう。たとえ彼女にこれ以上の戦功がなくとも、太后は女性の模範として彼女を立てるだろう。

守は彼女の助けを得て、自然と出世していくだろう。

どう考えても、さくらよりは良い。結局のところ、北平侯爵家はもはや北條守の前途を助ける力を持っていな
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