第10話

この数年間で、高橋は色々な事件を起こしてきた。ひき逃げなど、彼にとって初めてのことではなかった。だから園崎に脅された時、最初に思い浮かんだのは彼女を殺すことだ。

彼が傷つけた女の子たちもたくさんいたし、その中の一人が自殺に追い込まれたこともあった。これらのことはすべて、高橋家が様々な方法で隠蔽してきた。

被害者の家族は高橋家に脅迫されたため、高橋を制裁することができず、彼は今日まで楽しんで生きてきた。

すべての証人が出席し、封印されていた事件の詳細も明らかになった。高橋が殺人罪を犯したという事実は証拠がはっきりしており、他の事件と加え、彼が逃れることは不可能だ。高橋家が彼を守ろうとしても、全く無理だ。

二ノ宮と高橋がやった悪事も、私が匿名でネットに流出させたことによって世間に知られることになった。ネットは二刃の剣で、人を傷つけることもあれば、罪人に制裁を加える手段にもなり得る。

何十万人ものネットユーザーが一斉に非難し、状況がどんどん悪化してきた高橋家の株価は一時的にストップし、高橋家全体が手をこまねいている状態に加え、高橋を救う余裕も更になくなった。

裁判所から判決が出た。高橋には死刑が宣告され、三日後に執行されることになった。

彼が死刑判決を受ける前に、私は彼に会いに行ったんだ。

「古手川、なぜそんなことする！私と結婚するんでしょう、私はあなたの婚約者なんだろう。なぜ私をこんなことに？」

向かいに座っている坊主頭にされた高橋は今、以前のような富豪の世継ぎの様子はなく、みすぼらしくてかわいそうな感じになっている。まるであの時の私のようだ。

私は優しく微笑んだままでいた。

「高橋、私の名前、ちょっと覚えてるでしょ？高校卒業の時、あなたが私にしたこと、忘れちゃったの？ああ、そっか、あなたたちにとって私はもう死んだのも同然なんだね」

高橋がじっと私の目を見て、突然彼の顔に恐怖が広がっていた。

「あなた！なぜここにいる！なぜ生きてたんだ、なぜ！」

私は暗い顔をしている。

「もちろん私は生きてるわ、高橋、あなたの自業自得だ。あなたがやった悪事は地獄で償え、私の素敵な人生がこれから始まるのよ」

こう言った後、サングラスを取り出して顔にかけ、高橋に軽蔑の笑みを浮かべながら振り返って去っていった。

高橋はとなりの壁を思い切り殴って、まるで刑務所を