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第2話

「古ちゃん、気をつけてね。早く帰っておいでね、おじいちゃんが家で待ってるから」

私は顔を上げて、おじいちゃんににこっと笑いかけた。

「おじいちゃん、わかったよ!」

おじいちゃんのおせっかいがうっとうしいと思うことがこれで最後になるなんて、その時の私はまだ知らなかった。

私は「暮色」に到着し不安な気持ちで中に入ってきた。中に入ると、騒がしい音楽が少し馴染めないと感じた。人混みの中で、ちょっと浮いているような感じがした。

「古手川、こっちこっち!」

声がした方を見ると、個室のドアが開いていて、高橋が上半身を出して挨拶していた。

個室に入ると、高橋ともう一人の男の子がいた。彼のことが知っている、高橋の親友の二ノ宮だった。

「古手川ちゃん、こちらは僕の友達の二ノ宮だ。二ノ宮、この人が僕の彼女、古手川だよ」

二ノ宮は笑っているかのような、笑っていないかのような表情でじっと私を見つめ、少し嫌悪の感情が目に宿っているが、興味も持っているようだ。それにちょっと不快に感じた。彼はゆっくりと口角を上げながら私を見つめ続けた。

「こんにちは、二ノ宮と申します。今夜は楽しんでね」

高橋がくれたお酒を一杯飲んだら、ちょっと頭がふらふらしてきて、すぐに意識が飛んじゃった。

意識がなくなる直前に、二ノ宮の声が聞こえた。

「こんなデブに手を出すなんで、信じられないなあ」

「デブからこそ、手ごたえがあるんだよ!尊敬されるぜ!こんなデブとやった人、まだいないんだろう!」

おじいちゃん、助けて。

一言叫ぶ間もなく、私は意識を失ってしまった。

目を覚ますと、もう次の日の午後になっていた。

起きたら、丸裸にされた私は見知らぬホテルの部屋にいて、体中が痛かった。

私はぼんやりしていて、見るに堪えないシーンが頭をよぎった。

高橋と二ノ宮に犯された。覚えている限り、彼らはビデオも撮っていたみたい。

パニックと無力感に襲われ、どうしたらいいんだろう?もうダメだ、私の人生はもう終わりだ!

警察に!警察に通報しなくちゃ!

その考えがふと浮かんだその時、急に携帯が振動し始めた。あちこち探し回って、ようやく服の山の中から携帯を見つけ出した。

園崎だ。慌てて電話に出た。不満を吐き出そうとしたその時、聞いた内容に、まるで雷に打たれたような衝撃を受けた。

「古ちゃん、やっと繋がった!今どこに?大丈夫?早く市立病院に来て。おじいちゃんが心臓発作で、もう危ないんだから!」

連続する質問には唖然としたが、最後の一言で私の最後の望みが打ち砕かれた。

おじいさんに何かあった!

他のことなんて気にする余裕もなく、傷ついた体を引きずりながら服を着て、急いでタクシーで病院へ向かった。

でも、もう遅れた。病院に着いたときには、もう私とおじいちゃんは白い布によって隔てられた。

地面にひざまずき、涙に咽んでいた。

おじいさんは、泣いている私を見かねて、自分の貯金を全部使って、人身売買業者から私を買い戻してくれた。それで、手足を切られて乞食になる運命から救ってくれた。

その時、私をくるんでいた布には「て」という字が書かれていて、祖父の姓が古川だったから、「古手川」と名付けてくれた。私が彼にとっての宝物だと言っていた。

私と祖父は、いつも支え合って生きてきた。小さな頃からずっと、祖父は私のことを一番に考えてくれて、いいものはなんでも私にくれた。私にとって最も身近な存在だったのに、最後に顔を見ることさえ叶わなかった。

園崎が私を起こして、心配するふりをして涙を拭いてくれた。

「園崎、これって一体どういうこと?」

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