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第12話

再び目を覚ましたとき、目に映るのはまたしても見慣れた病院の天井だった。

「結衣ちゃん、目が覚めたのか?」

隣から修二の疲れた、抑えた声が聞こえてきた。

私は静かに彼を見つめた。「修二、私の病気のこと、知っていたの?」

「結衣ちゃん、どうして言ってくれなかったんだ……これは治せる病気だったんだ、君は死ななくて済んだんだよ、結衣ちゃん……君が死ぬなんて……まだ、俺は……」

修二は顔を手で覆い、かすれた声が漏れていた。その声はまるで、粗い砂石で無理やりこすり出されたように、痛々しくかすれていた。

その後も声は抑えられ、絶望の中で泣いているようだった。

けれど、私たちは一年間お互いを苦しめ続けてきた。もう彼自身でも、自分が「まだ何を」していないのか、分からないだろう。

久しく聞いたことがなかった、彼の「結衣ちゃん」という呼びかけ、そして悲しげで脆弱な彼の姿。

けれど修二、もう遅いのよ。私たちは、もう戻れないの。

「修二、覚えている?かつて、私は言ったわね。あなたが私を傷つけるチャンスを百回あげるって」

私は天井を見上げ、彼を見ないまま静かに言った。

「結婚してから、私は密かにその回数を数えていたの」

「95回目は、母が私のためにくれた玉のペンダントを壊したこと」

「96回目は、結婚記念日に他の女と過ごしたこと」

「97回目は、発作のときに電話したら、あなたの秘書が出て、私のお願いを無視したこと」

「98回目は、病院であなたに彼女が私への当てつけに送った写真のことを言っても、信じてくれなかったこと」

「99回目は、彼女と指輪を選びに行ったことで、記者たちに囲まれた私が恥をかいたこと」

「そして100回目は、母が亡くなる前にあなたにすべてを説明したがっていたのに、来なかったこと」

「これで100回、きっかりよ」

涙が頬を伝ったが、私は悲しいわけではなく、ただ少しの虚しさと後悔が残っていた。

「修二、わかるでしょう?私の病気について知る機会がなかったわけじゃない。あなた自身が、私に関することをまるでゴミのように無視し、見向きもしなかったんだから」

「あなたの秘書や愛人のために、何度も私を放っておいたのよ」

「だから、修二、もう十分でしょう?」

私は微かに笑ったが、涙が止まらなかった。

「修二、あなたはかつて誓ったでしょう。もし私を
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