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第11話

母の最期を見届けたあと、私は疲れ果てて実家の母が残してくれた部屋に入った。

小さな部屋だけれど、至る所に温もりと愛が感じられる。

私はベッドに身を投げ出し、また涙が止めどなく溢れ出した。

しばらく泣き続けたあと、ようやく志保に電話をかけた。

「志保、離婚届を作成するために弁護士を探してくれない?」

私のかすれた泣き声を聞き取ったのか、志保は珍しく真剣な声で、静かに尋ねてきた。

「結衣、大丈夫か?」

「母が……亡くなったの」

苦しさと絶望を押し殺して、私は静かに答えた。

志保は驚きのあまり呼吸が乱れ、しばらくして重々しく言った。

「……ご冥福を。おばさんもきっと、君が幸せに生きることを願っているはずだよ」

「しっかり休むんだ。離婚届は俺が準備しておくから」

その後、私は父とともに母の葬儀の一連の手続きを淡々と進めた。

母は実家との関係が悪かったため、父と話し合った結果、あちらには知らせないことにした。

葬儀には、家が倒産した後も付き合いを続けてくれた親しい人たちと、近所の人々が参列してくれた。

志保も私を手伝い、時には素香まで手を貸してくれた。

だが、翌日必ず来ると言った修二は、ついに現れなかった。

私も、彼を呼び戻すように哀願するつもりは一切なかった。

すべてが終わったのは五日後だった。

私は休む間も惜しんで、志保が用意してくれた離婚届を持って、修二の会社へ向かった。

受付の人は恭しく、しかしどこか怪訝そうな表情で、私を修二のオフィスに案内した。

オフィスの装飾や家具は見慣れたスタイルのままだが、女性らしい小物が増えているのが目に入った。

部屋を見回しても、修二の姿はなかった。

質問しようとしたところで、見覚えのある女性が早足で私の前にやって来た。

雪奈は優雅な笑みを浮かべながらも、その言葉には鋭い嘲笑が隠されていた。

「結衣さん、どうしてここに?今、深澤社長は会議中なの。彼が言ってたわ、私以外の人で要件がない限りは誰も邪魔をしないでくれって。少しお待ちいただけますか?」

「どうしてもすぐに会いたいなら、私が聞いてあげましょうか?彼が今すぐ来てくれるかどうか」

私は冷静に答えた。「いいえ、ここで待たせてもらいます」

雪奈は申し訳なさそうに微笑んで、「それじゃあ、私は深澤社長のもとに戻りますね」と言い残し、ハイヒ
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