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第10話

この百回目のチャンスが、こんなにも早く、突然訪れるとは思っていなかった。

実家に戻って三日目、母の容体が急に一時的に回復した兆しを見せた。

私は涙をこらえ、母と話をし、彼女が最後の時間を安らかに過ごせるよう努めていた。

だが、母は突然、修二を呼んでくれるよう強く頼んできた。

両親もニュースを見ているので、私と修二の関係がどれほど険悪か知っている。

母の願いは、人生の最後に、私のために修二に過去のすべてを説明したいというものだった。

彼女は、根拠のない憎しみのために娘が人生を浪費してほしくなかったのだ。

私は母の願いに逆らえず、階段の隅に行って電話をかけた。

今回は、電話が一秒も経たないうちに接続された。

私は嗚咽をこらえながら言った。「修二、お願いだから、私の実家に来てくれない?」

修二は少し迷った後、「今俺は……」と話し始めたが、その向こうから雪奈の甘えた声が聞こえてきた。

「修二、まだ痛いのよ~。どこに行ったの?」

修二はそちらに応じながら、私には適当に約束を返してきた。

「結衣、今は用事があるから、明日、明日必ず伯父さんと伯母さんに会いに行くよ」

私は耐え切れず、小さくすすり泣きながら言った。「修二、私の母が……」

だが修二は急いで遮った。「いいから、結衣、じゃあそういうことで、俺は忙しい」

そう言うと、彼はそのまま電話を切った。

私はその場にしゃがみ込み、声を押し殺して泣き続けた。

私自身のために、修二のために、両親のために、過去のために、未来のために。

私と修二の「家」にあるノートにはまだ96件目までしか記録がない。

だが、私の心の中のノートは、すでに100に達していた。

私は愛してくれた母を見送ろうとしている。

そして、修二と絡み合った私の半生も、共に見送ろうとしている。

これから生き延びるかどうかは分からない。

ただ少なくとも、私は修二のいない世界へと旅立つことになるだろう。

そこでは、私、結衣が変わらず、不屈の勇気と消えない希望を抱き続けるのだ。
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