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第7話

城からの布告が落桑にも掲示された。

布告には、上様の頭痛が治らず、夜も眠れぬことが多いため、香調師を求めているとあった。見返りとしては多額の報酬が支払われるという。

だが、集まった人々は「頭痛なら名医を呼べばいいのに、なぜ香調師を?」と疑問を口にしていた。

布告の最後には、見物人には意味の分からない一句も書かれていた。

「必ず明珠を以て真珠と換えること」

これは、光信が私に宛てて書いたものだった。

ついに彼は私に位を与えると約束したのだろう。

だが、そんなことにどれほどの意味があるのだろう?

新之助なら、きっと祠堂の片隅にいるよりも、外の花の香りを楽しんでいる方が好きだろう。

その一方で、落桑には護送の隊列が溢れかえっていた。

車夫からの話によると、それは安王の領地に運ばれる甲冑と刀剣なのだという。

また、世間では次々に噂が飛び交っていた。曰く、光信は本当は下働きの女の子で、先代城主の目にも留まらぬ存在であったとか、安王こそが先代に最も愛された子であり、廃されたのは冤罪だったというものだ。

さらには、光信が仕組んで安王と若殿を争わせ、若殿を湖へと追いやったために、死者は反論できないとまことしやかに言われている。

振り返れば、確かに光信は非常に聡明な男だった。

その賢さは、ただ時勢を見抜く力にとどまらず、人を心酔させる術を知っているところにあった。

安王の家臣ですら光信と数度しか会っていないにもかかわらず、彼のために安王と若殿の仲を裂くよう尽力したのだ。

私が彼に身も心も捧げたことも、結局は彼の策略だったのだろう。

この世で私が信じられる真心は、母だけだ。

約束の日が来た。私は早めに香の店の向かいの茶屋に到着し、猟師の到着を待った。

やがて、猟師がふくよかな体つきをした婦人を連れて現れた。彼女は私に背を向け、流行りの金色の簪を髪に差し、豊かな黒髪を纏っていた。

私はがっかりして茶を置いた。あの婦人は母ではなかった。

母はとても痩せていて、鼓の舞も軽やかに踊れるような体つきだった。

さらに、売り飛ばされた頃には、すでにこめかみには白髪が混じっていたはずだ。

これほど年月が経った今、黒髪になっているはずがない。

猟師は周囲を見回し、私を探していた。私は杖を頼りに、苦労しながら大通りを横切った。

「ああ、あの兄ちゃんだ!」

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