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第5話

二日後、私は死体置き場で竹筵に包まり、息を潜めて横たわっていた。

門を開けた者は私に目もくれず、そのまま私を板車に放り込み、城の外へと運び出そうとする。

長屋の門口に差し掛かったとき、門を守る羽林隊が一人ひとり検分するよう命じた。

「上様の命で、近頃ここから出る者は厳しく取り調べよとのことだ」

車を引く者は羽林隊の威圧におののき、急いで降りて筵を開け始めた。

天然痘にかかった者の顔には赤く腫れた発疹が出ているから、顔を見られればすぐに露見してしまうだろう。

私の顔の筵がまさに開かれようとしたとき、弥右衛門が駆け寄ってきた。

「検分とはなんだい?天然痘が広がっても、お前たちで責任が取れるのか?」

「しかし......上様のお達しで......」

一人の羽林隊員は言葉を濁し、どうにも答えられずにいる。

「御殿の儀仗行列がすぐそこを通るぞ。万が一、御台所様のお腹の子に何かあれば、黙って済ませるはずもないだろう」

羽林隊は聞くなり、面倒事を避けるべくすぐに手を振って通した。

誰かがそっと筵の隙間から小さな袋を差し出し、私はそれを手で握りしめた。

竹筵の隙間から見えたのは、弥右衛門が涙を拭っている姿だった。

板車がごとごとと揺れるたびに、私は吐き気をこらえるのに必死だった。

夕刻、私は郊外の大きな穴に放り込まれ、さらに左脚の傷が痛み始めた。

幸運にも、穴を掘った者は怠けてそのまま遺体を埋めることもせず、すぐに車を走らせて去っていった。

私は歯を食いしばって土の穴から這い上がり、ふらふらと小川のほとりに辿り着いた。

深く息を吸い込むと、草木と土の清々しい香りが全身に染み渡り、まるで別世界に来たかのようだった。

夜風にはクチナシの花の甘い香りが漂い、そよ風にその清らかな香りが広がっている。

「新之助、お前もこの香りを感じるだろう?」

私は香料商人に身を偽り、雇った車夫と共に南へ向かった。

かつて母を買い取った人買いが南の地へ向かったと聞いていたのだ。

母を見つける可能性はほとんどないと分かっていながらも、探さずにはいられなかった。

弥右衛門のくれた袋には金塊が入っており、各地の城下を訪れるたびに茶を飲む余裕もあって、少しずつ母の消息を探り始めた。

その日、評判の高い語り部が来ると聞き、茶屋は彼を待つ客でごった返していた。

「三田
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