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第27話

「本当に感謝してる?」

車に近づき、山田時雄は伊賀丹生を後部座席に座らせた後、車体に寄りかかり、私を見つめて微笑んだ。

私は頷いた。

「もちろんです」

「それなら、今後はいちいちお礼を言わなくていいから」

この言葉には何か含みがあると感じたが、深く考える前に、彼はまた笑って

「あまりにも遠慮しすぎだよ」

と付け加えた。

私はクスリと笑ってそれに答えた。

「わかりました」

ちょうど代行業者がやってきたので、彼は車の鍵を代行する運転手に渡し、私に優しく言った。

「もう行くから、早く上がって」

私が階段を上がって家に戻ると、リビングルームはすでに空っぽになっていた。

江川宏の姿もなかった。

心の中が何だか空っぽになったような気がした。

でも、それもほんの一瞬のことだった。

黙って去っていくのが彼のスタイルだからだ。

恐らく江川アナあたりで何か「急用」でもあったのだろう。

私は寝室に戻り、そっと河崎来依をたたいた。

「来依、起きて、パジャマを変えてあげるから。気持ちよく寝られるでしょ」

「うん」

河崎来依は私に微笑むと、甘えるように両手を広げて私を抱きしめ、上着を脱がせてというふうに両手を上げてボソボソと言った。

「いい子、私の南ちゃん、誰かがいじめたら許さないから……」

「何言ってるのよ?」

私は思わず笑ってしまった。

……

翌日、目が覚めると河崎来依はもうベッドにいなかった。

リビングからかすかに物音が聞こえてきた。

私はまだ眠たい目をこすりながらドアの前まで行き、河崎来依がヨガをしているのを見た。

私が起きたのに気づき、彼女は今の姿勢を保ったまま、少し顎を上げてふざけて言った。

「あたしきれい?」

「きれいよ、あなたが一番きれい」

私は思わず吹き出してしまった。

彼女は私が今までに出会った女性の中で一番美しかった。一目見ればその美しさに誰もが感嘆してしまうほどだ。

今はヨガウェアを着ているから、彼女のスタイルの良さがより際立っていた。

河崎来依は満足そうに、うんうんと頷いた。

「やっぱりうちの南ちゃんは見る目があるよね」

私はそれを聞いて思わず笑い、洗面所に顔を洗いに行った。

化粧中、河崎来依がヨガを終えてやってきて、私の何もついていない耳を見て言った。

「昨夜のイヤリングはどこ?」

「引
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