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第33話

そして、MSこそ真の高級ブランドの一つであり、デザイン界の多くの人々が憧れる頂点だった。

「うん、ちょうど決まったところなんだ」

山田時雄は少しニヤリとしながら言った。

「こいつはついさっき白状したんだよ」

伊賀丹生は彼の控えめな様子は許せないようで

「彼は帰国する前からずっとMSから連絡があったんだけど、なかなか首を縦に振らないもんだから、今になってしまったんだ」

小林蓮華は言うまでもなく、私ですら彼を崇拝したくなるくらいだった。私は笑みを浮かべて言った。

「先輩、しばらくしたら鹿児島大学が先輩のために専門コラムを書くでしょうね。なんといっても母校の誇りなんですから」

話は江川宏に及ぶが、彼は鹿児島大学の学内専門コラムで長年活躍していて、卒業してからも後輩たちの中に多くのファンがいた。

もしかしたら、彼は本当に天上の星であり、私が彼を手に入れようと思っていたのは間違いだったのかもしれない。

「だから、今日は山田先輩がMSに入社したことを特別に祝うためのもの?」

河崎来依は食べながら尋ねた。

「そうだよ」

伊賀丹生は頷いた。

「早く食べて、後半戦もあるから」

彼は悪気はなくちらっと見て言った。

「残念ながら江川さんは忙しいからな。そうじゃなきゃ君たちは……」

私はわかった、彼は私と江川宏が離婚するのを望んでいないらしい。

「食べてる時も口が減らないわね」

河崎来依はそう言うと、素早く黒糖団子を彼の口に詰め込んだ。

私は口角を上げて言った。

「残念だなんて思わないわ」

彼には一緒にいたい人がいるのだ。

離婚するなら、それぞれが自分の人生を歩むのは普通のことだ。

そう、いたって普通のことなのだから。

食事を終えて下に降りている時、心ここにあらずだったのか、私は階段から足を踏み外してしまった。幸いにも大きな手にしっかりと支えられ、階段から落ちるのは免れた。

山田時雄は私が体勢を整えると、優しく注意した。

「気をつけて、怪我はないか?」

「大丈夫です」

足をひねっただけだよ。

ただ、思ったよりひどくひねったようで、歩くと痛くて冷や汗が出てしまった。

山田時雄は眉をひそめて言った。

「痛い?」

「大丈夫です」

私は微笑んで手すりに寄りかかり、足を引きずりながら階下に降りた。

河崎来依と伊賀丹生が先に会計を済
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