第178話

ただ見ると、彼は無表情で眉をひそめた。「俺はそんなに藪蛇じゃない」

それはどうかな。

私はその母娘を見るだけでうんざりするから、階段を下りる気もしなかった。振り返って部屋に戻る前に、言った。「彼女を追い払った方がいい。さもないと私が出て行く」

思いがけず、私がまだ入る前に、江川アナが駆け寄ってきた。「宏、これを見てごらん、あの清水南は……」

彼女の視線が私に当たったとき、言葉が途切れた。

私は彼女を見たくないが、彼女は私の名前を呼んでいるので、私は思い切って見返した。「私に何があったの？知らないね、今私のことをそんなに心配しているんだね」

「あなた。あなたはどうしてここにいるの！本当に恥知らずだわ、離婚しても江川家に来るなんて……」

彼女は必死に隠そうとしているが、私は彼女の口調から嫉妬と憤りを感じ取った。

「江川アナ！」

江川宏は冷たい表情を浮かべた。「私は3回目に言いたくない。彼女はまだ俺の妻だ」

私は落ち着いて言った。「彼と私の間には、離婚証明書がまだ欠けている。感情的にも理論的にも、お前よりも江川家にいるのは正当的だ。私が恥知らずだったら、お前はなんだ？」

「よく言うね！」

江川アナは私を睨みつけ、軽くフンと、顎を上げて言った。「宏でも、お父さんでも、彼らこそが本当の江川家の人だ。私にとって最も親しい人たちだ！私は何だと思う？」

「……」

昨日ホテルで見た光景を思い出すと、胃がひっくり返り、二重の意味で言った。「宏はどうかなわからないが、義父さんとは確かに最も親密な関係にあるでしょう」

昨日のホテルでは、同じベットで寝たから、親密ではないわけがなかった。

私がこの言葉を言うのは、意図的に反応を引き出すためであり、試すためでもあった。

心の中で不安があるのか、彼女の小さな顔には一瞬パニックが走り、怒りでそれを隠して、不快そうに尋ねた。「清水南、何の意味か？！私とお父さんの関係を中傷しようとしているのか？あなたはなぜこんなに卑劣なのか！」

本来、彼女と私の義父の関係は、90％しか確定できなかったが、彼女は今、自分で答えを与えた。

ただし、私はもう証拠を完全に手に入れる前に、軽率な行動はしなかった。

私は眉をひそめ、すぐに笑顔で言った。「何を言っているの？卑劣？義父さんはお前を一番大切にしているが、お前たちが親密な関係を持っ