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第152話

離婚するつもりだから、江川宏には何の恩義も感じたくなかった!

それに、これは赤木邦康が負っているものだから、このような人のために代金を払いたくなかったんだ。

「もちろん、彼の身分や地位はわかっているよ」

若い男が口を動かし、ダイヤルを押し、スピーカーボタンを押した。「俺たちも彼に嫌われたくないし、もし本当に彼と関係がないなら、私もバカじゃない。自分で問題を起こすわけじゃない」

携帯電話から聞こえる「ブー-ブー-」という音に耳を傾けると、私の心は緊張した。

彼に助けを求めるか、関係を切るか。

この2つの考えが私の心の中で繰り返し跳ねていたが、電話がつながった瞬間、江川宏は私に答えをくれた。

最初に聞こえたのは、江川アナの声だった。

「誰だ?こんな夜中に何度も電話してくるなんて……」

私の爪は手のひらに食い込み、痛くなった。「私だ。清水南だ。江川宏はどこ?」

ただ署名しに行くだけと言ったのに。

今、なんと江川アナに携帯まで置いてきた。

江川アナは微笑んで、言葉に自慢を含んで、優しく言った。「彼は、流産後に1ヶ月も経ってから生理が来ることを知らないので、私がもうすぐ生理が来ると思って、生理用品を買いに行って、携帯を忘れてしまったの。何か用事があるの?」

生理用品。

この言葉は私にとって突然の一撃だった。

結婚して3年、彼は私の生理周期さえ覚えたことがなく、私にこのような個人的な物品を買ってくれることなど考えたこともなかった。

ふと、3周年記念日の夜に彼が言った言葉が私の頭に入ってきた。

――「お前の生理周期が近いんだよ……」

――「ああ、それは私が間違えたんだ」

今、私は彼が間違えたのではなく、ずっと江川アナのことを覚えていたことに気づいたのだ。

真に皮肉だった。

私の心臓は見えない手にしっかりと握られ、ぎっしりと痛みが広がっていた。「ああ、彼に来月離婚証明書を取る時間について尋ねたいだけなんだけど、大丈夫かな?」

「もちろん大丈夫だ!」

彼女は力強く言った。「宏はあなたとすっかり縁を切りたがっているんだから!」

私は若い男を見上げ、淡々と言った。「聞こえた?」

「……」

彼は怒りを込めて眉をひそめ、携帯を取り戻し、江川アナはまだ騒いでいた。「何を聞こえたって?清水南、これからはもう電話しない方がいいよ。それに知らない番
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コメント (1)
goodnovel comment avatar
REI
生理周期ただ適当に言ったわけじゃなくて別人と間違えてたとかありえない…... しかも妻のは把握してないとか… え、これはもう気持ち悪い…
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