第10話

「お姉さん、また来たよ。今日は友達も連れてきたんだ。お姉さんのクレープを味わってもらおうと思って」

田中優作だ。初めて私のクレープを買ってくれた人。

彼の後ろにいる二人の友達を見て、軽く頷いて挨拶した。

「どんな味がいい？」私は笑顔で尋ねた。こんなに楽しく感じたのは久しぶりだった。

「何でもいいよ。全種類一つずつでもいい。寮の友達にも持って帰りたいし」彼の友達が私のクレープを見つめながら言った。

「いくら？前回はタダだったけど、今回はちゃんと払うよ。でないと、次来なくなっちゃうから」

......別にタダだとは言ってないのに。お金を返さないといけないし。

「一つ600円よ。でも、現金しか受け付けてないの。現金がなければ、あそこの売店で両替してきて」私は車に貼った紙と、近くの売店を指差した。

そこには「現金のみ」と書いてあった。

「お姉さん、待っててね。すぐ戻るから」

田中優作が去っていく姿を見て、ため息をついた。若さっていいな。

私が彼よりたった1歳上なだけだとは、誰も思わないだろう。

でも、こんな姿になってしまった。

「お姉さん、彼かっこいいでしょ？彼女いないんだよ。考えてみない？」

田中優作の後ろ姿を見ていると、彼の友達の目に違う色が浮かんでいた。

私は彼の友達に首を振り、何も言わなかった。

一日2000〜3000円稼げるようになり、すぐに借金を返せた。

藤原旭はずっと私を待っていたみたいだった。

あの日、彼らの喧嘩を盗み聞きしたと言った。

私を誤解していたと。

私は何も言わず、お金をテーブルに置いて、その場を去った。

よし、これでスッキリした。

でも、この田中優作はどうしたんだろう？

なぜいつも私の屋台に来るの？

そんなにクレープが好きなの？

「クレープそんなに好き？」私はついに聞いてしまった。

「まあまあかな。どうして？」彼は一口食べながら、ぼんやりと答えた。

「まあまあなのに毎日来るの？」もしかして、お金がなくて食べるものがない？

でも、お金がなさそうには見えないけど。

「お姉さんがいるからだよ」彼はまた一口食べた。

私が彼の言葉の意味を理解する前に、彼は飲み込んでから、突然近づいてきて、真剣な顔で私を見つめた。

「お姉さん、僕の彼女になってくれない？」

私は一瞬驚いて、それから首を振り、彼の