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第2話

そこに入った人だけが分かる。生きるのが地獄のようだということを。

昼食の時、私は黙々と茶碗の白いご飯を食べていた。

音を立てず、おかずも取らず、まるで一ヶ月飢えていたかのように、急いで食べた。

「中村幸子!」

「はい!」

名前を呼ばれると、私は反射的に箸を置き、立ち上がった。

口からも「はい」という返事が出た。

私だけでなく、慶太とおばあさんも驚いた様子だった。

彼らの驚いた表情を見た後、慌てて置いたにもかかわらず、きちんと並べられた箸と茶碗を見下ろした。

どうしたらいいか分からなくなった。ここがリハビリ施設ではないことを忘れていた。

慶太慶太が突然私を呼んだ理由が分からなかった。

「もう、この子ったら。あんたが驚かせたのよ」おばあさんは慶太の頬を叩いた後、私に振り返って言った。「座りなさい。おばあちゃんの家では、そんなに緊張しなくていいのよ」

私は素直に座ったが、目の前の箸に手を付けなかった。

「おばあちゃんが今話しかけたのに、聞こえなかったのか?」慶太は不機嫌そうな口調で言った。

おばあさんの言葉を聞き逃したことに不満なのか、おばあさんに頭を叩かれたことに不満なのか、分からなかった。

「すみません、おばあさん。お腹が空いていて、気づきませんでした」私はおばあさんに謝罪の眼差しを向けた。

先生は、謝罪は誠実でなければならないと言っていた。

私だけが知っていた。お腹が空いていたわけではなく、十分速く食べないと、食べ残しがあって殴られるのが怖かったのだ。

おぼろげながら、おばあさんが先ほどおかずをもっと食べるように、ご飯だけでなくと言っていたのを聞いていた。聞こえていたが、反応が遅かったので、慶太が私を呼んだのだろう。

一食が終わる頃には、暑かったのか、額に薄い汗が浮かんでいた。

食事の後、私は祖父が残してくれた古い家に戻った。

「送ってくれてありがとう」私は礼儀正しく慶太に軽くお辞儀をして感謝の意を表した。

おばあさんは一晩泊まっていくように言ってくれたが、私は断った。これ以上彼らと接触したくなかったので、慶太に送ってもらうことにした。

「本当にここに住むつもりか?」慶太は眉をひそめた。

私は振り返って後ろの家を見た。3年間誰も住んでいなかった。

すでに雑草が生い茂っていた。

私は慶太に頷いた。

ここ以外に行く場所はなかった。お金もなく、今着ている服さえ3年前のものだった。

リハビリ施設の中では服は統一されていたので、この服だけが今まで残っていたのだ。

私は地面の草を引き抜こうと手を伸ばした。中にいた動物たちが驚いたようで、一斉に飛び出してきた。

ゴキブリ、ネズミ、そして怠け者のヘビが一匹。ヘビは動かず、壁の隅にじっとしていた。

以前の私なら、きっと慶太の背中に飛び乗っていただろう。

今の私は、これらの動物をただ冷ややかに見つめ、棒を探してヘビを追い払おうとした。

慶太は私を直接車に引っ張り込んだ。

「どうしたの?」私は少し困惑して彼を見た。慶太がまだそこにいたことに気づいたばかりだった。

「そこにヘビがいるのが見えなかったのか?」慶太の口調は不機嫌そうだった。

ああそうだった、慶太もこういう軟体動物が苦手なんだった。

「見えたわ。大丈夫よ、棒で巻き取って追い払えばいいの。怖いなら、先に戻っていてもいいわよ」私は逆に慶太を慰めるような形になった。

車のドアを開け、降りようとした。

しかし慶太はロックをかけ、そのまま車を発進させた。

私は助手席に座り、驚いて慌てて安全ベルトをしっかりと締めた。

「あ、あなた…どこに連れて行くの?」

慶太は答えなかった。

私もそれ以上聞かなかった。

私は慶太に彼の私邸へと連れて行かれた。

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