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第327話  

 多くの観光客がスマホを取り出す暇もないまま、ほんの一瞬のオーロラの輝きが、乗客たちに大きな衝撃を与えた。

瞬く間に、車内の全ての乗客が窓に顔を押し付け、外の景色に目を奪われ、議論が巻き起こった。

さらに20分ほど進むと、神秘的なオーロラが再び遠くの広大な空に現れた。半分が緑色、半分が紫色で、光が非常に強く、空の半分が明るく照らされ、山々も紫色に染まっていた。

車内の観光客たちは興奮し、スマホを取り出して窓越しに撮影を始めた。

このオーロラは空に長く留まり、バスがさらに進むにつれて、オーロラがどんどん近づいてくるように見えた。

しばらくすると、大バスが平らな場所に停まり、観光客たちは素早く車から降りた。

由佳は目の前の空を見て、心から感動していた。

ここは広い場所で、空が広がり、まるで地面に近いかのようで、手を伸ばせば届きそうだった。

青、紫、緑のオーロラが広がり、星雲と混ざり合って、まるで深遠な銀河のように美しく、幻想的だった。

宇宙の広大さと、人間の小ささを感じさせる光景だった。

オーロラを見ながら、写真を撮るのは不可欠だった。

観光客たちは次々にスマホを取り出し、撮影を始めた。

中には専用のカメラを持参した観光客もいた。例えば北田さんがそうだった。

風景写真を十分に撮った後、高村さんは由佳にスマホを渡し、オーロラと一緒に写真を撮りたいと言った。

数枚撮った後、高村さんはスマホを確認し、「由佳ちゃん、すごい!この角度、素晴らしいよ!」と驚いた。

人物もオーロラも見事に撮影されていた。

北田さんも覗き込んで、「惜しいな、スマホの解像度がもう少し良ければね」と言いながら、カメラを由佳に渡した。

「由佳ちゃん、今日は人物の撮影を担当して!」

「大げさ」と由佳はカメラを持ち、少し戸惑っていた。

「大げさなんかじゃないよ、すごく良いよ!」と高村さんが言った。

「そうだよ、由佳ちゃんが一番得意なことを忘れちゃダメだよ!」と北田さんが続けた。

由佳はMQの総監督を務めた経験があり、ゲームや宝石などの製品でマーケティングコンサルタントもしていた。特に広告デザインや撮影が得意だった。

業界の一部では、由佳の撮影スキルは非常に高く、監督した広告映像は視覚的に楽しませてくれると評価されていた。

MQの広告撮影では、由佳が常に現場にいて、カメ
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