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第065話

数分後、病室のドアが突然開き、藤沢曜が勢いよく入ってきた。「藤沢修!」

彼が父親の姿を見て、眉をひそめた。「父さん、どうしてここに?」

矢野涼馬は何をやっているんだ!

「俺が来るのは嫌か?まあ当然か、ニュースをもみ消して、SKグループの総裁が柱に車を突っ込むほどバカなことをしたなんて誰にも知られたくないもんな」

彼は何度も連絡がつかなくなったので、やむを得ず彼を探しに来た。

藤沢修は平然とした顔で答えた。「わざと突っ込んだわけじゃない」

「お前の医療記録を確認したが、疲労運転だったらしいな。自業自得じゃないか?一体また何をやらかしたんだ?」

藤沢修は面倒くさそうに答えた。「もう済んだことだし、俺は無事だ。だからこのことは、おばあちゃんと小锦には言うな」

「自分のおばあちゃんと妻のことを気にかけてるつもりか?お前がもし死んだら、あの二人のこと考えたことあるのか?どうせまた桜井雅子のことだろ!」

桜井雅子が現れる前は、すべてが順調だったのに、あの女が来てから、何もかもおかしくなった。

藤沢修は父親の話を聞き流し、まるで駄々をこねる子供のように、布団を頭まで引き上げた。

「お前…」藤沢曜は怒りを抑えきれず、ポケットから携帯電話を取り出し、番号を押した。「藤沢修、お前を叱りつける人間はまだいるんだ!」

藤沢修は布団をさっと下ろし、父親が電話をかけようとしているのを見て、眉をひそめた。「おばあちゃんに知らせるつもりか?彼女はお前の実の母親だぞ!」

「おばあちゃんには知らせない。ほかの人にだ」

藤沢曜は自分の母を気絶させるようなことはしない。

「若子に知らせるつもりか?」藤沢修の表情がさらに険しくなった。「彼女には言うな!」

藤沢修が話し終わると同時に、藤沢曜の電話が繋がった。「もしもし、光莉…」

「光莉」という名前を聞いた瞬間、藤沢修は少しホッとした。

「光莉、電話を切る前にちょっと待ってくれ。修が事故に遭って、かなり重傷なんだ。今はベッドから動けない状態で、やっとの思いで命を取り留めたんだ。病院に来て彼を見てやってくれ」

「これから位置情報を送るから、すぐに来てくれ」そう言って、藤沢曜は電話を切り、妻に病院の位置情報を送った。

電話を切ったあと、彼が藤沢修に振り返ると、息子が冷めた目で彼を見ていた。「父さん、俺はベッドから降りられるし
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