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第066話

藤沢修が破られた離婚協議書を見て、最初は驚いたが、それほど怒りを感じていない自分に気づいた。ただ少し呆然としただけだった。

しかし、すぐに自分の反応が間違っていることに気づき、目を上げて冷たく言った。「これ、意味があるのか?若子はもう署名したんだぞ」

「彼女が署名したから何だ?離婚を言い出したのはお前だろうが!お前の考えなんて俺にはバレバレだ」

藤沢修は藤沢曜の血を引いている。父親として、息子の考えていることぐらい見抜けて当然だ。

「お前が破ったところで意味はない。紙を無駄にしただけだ。どうせまた印刷されるんだよ」

藤沢修は離婚を決意していた。

だが、藤沢曜には伝えていないが、実は松本若子の方が彼以上に早く離婚を望んでいたのだ。

藤沢曜は藤沢修を見るたびに苛立ちを感じ、病室を出て休憩エリアに向かった。座って入口をじっと見つめていた。

何度か時計を見て、思い悩んだ末に、携帯を取り出し、ある番号に電話をかけた。

「若子、俺だ」

「お父さん、何かご用ですか?」

「お前、誰に頼まれて離婚協議書にサインしたんだ?家族の同意は得たのか?」

「お父さん、私は…」

「言い訳はいい。何が起きたかはわかっている。次に奴がまた離婚協議書を持ってきたら、絶対にサインするな。お前は桜井雅子を楽にさせたいのか?」

「お父さん、修との関係はもう修復できないんです。これ以上引き延ばしても、お互いを傷つけるだけだから…」

「お前たちの結婚は救いが必要か?まったく二人ともバカだな」藤沢曜は彼女の言葉を遮った。「母さんの体調が悪いけど、俺はお前たちを止めるつもりだ。次にサインするところを見たら、息子の嫁に容赦しないぞ!」

言い切り、彼は電話を切った。

藤沢曜は手に握った携帯をしっかりと握りしめ、過去の出来事が脳裏に蘇ってきた。

若子を藤沢家から出すわけにはいかない、絶対に許さない!

自分が犯した過ち、自分で償わなければならない。息子には同じ過ちを繰り返させてはならない。

「松本若子があなたに何かしたの?」冷たい女性の声が響く。

藤沢曜は我に返り、顔を上げて見ると、妻が立っていた。急いで先ほどまでの落ち込んだ表情を隠し、「光莉、来たのか」と言った。

「修はどうなの?」伊藤光莉は、藤沢修のためにここへ来ただけだった。

「彼は病室にいる、今案内するよ」と言って、藤
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