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第7話

沙也加だ......怒りの眼差しで私を睨みつけている!

紗英は私の隣に立って、「あんた誰?私と旦那がイチャイチャしてるのが、あんたに何の関係があるのよ!」と口を尖らせた。

「旦那?」沙也加の目には信じられないという感情が明らかに表れていた。

私は気まずそうに紗英を引き寄せ、紹介した。「こちらは私の上司、沙也加。で、こちらが私の妻、紗英だ」

沙也加は冷笑を浮かべ、「夏夜、こんな冗談、面白いと思ってるの?」と言った。

「どこからか適当に女を見つけて、私を騙すつもりなんて、いつもの手だわ」

沙也加、お前は本当に、私が絶対にお前を諦めないと確信しているのか。

「これを見てみな!」

紗英は赤い冊子を手に持ち、得意げな顔で沙也加に見せつけた。

その赤い冊子を見て、私も驚いた。

まさか、この人、結婚証明書を持ち歩いているのか?!

「これは国が認めた正式な証明書よ!合法で、正々堂々としてるわ!」

紗英は「私には証明書がある!」という誇らしげな表情を浮かべている。

彼女は結婚証明書を大事そうに胸元のポケットにしまい、宝物のように扱っている。

それでも、沙也加は依然として疑いの目を向けていた。

「こんなもの、今じゃいくらでも偽造できるんだから!夏夜、くだらないことはやめなさいよ!」

沙也加は紗英を信じず、ずっと私を鋭く見つめ続けていた。

「上司さん、そんなつまらないことに騙されるほど暇なんですか?」

「それに、今はもう勤務時間外ですよね?上司だって、部下のプライベートに干渉するべきじゃないんじゃないですか?」

紗英は私の腕を抱きながら甘えるように言った。「旦那さま、行きましょうよ。今日は私の誕生日だし、レストランも予約してあるんだから」

私は紗英のふわふわした髪を撫で、平静に言った。「沙也加、俺、本当に結婚してるんだよ」

「もう結婚して3年になる......」

「嘘よ!もし本当に結婚してたなら、なぜ私に言わなかったの?」

私はかつて愛していたこの女性をじっと見つめた。「言ったことはある。けど、君が気にしていなかっただけだ......」

実際、私は結婚していることを沙也加に伝えたことがある。

あの時、私は胃潰瘍で入院し、その夜、紗英が病院に駆けつけて、全力で私を看病してくれた。

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