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第4話

私は目的もなく街を歩いていた。体中が痛くてたまらない。そして、ぼんやりとした意識の中で、16歳の翔一が目の前に立っているような気がした。

あの年、私は高校に入ったばかりで、両親が交通事故で突然亡くなったことから、心は乱れ、どんどん内向的になっていた。

翔一は新しく引っ越してきた隣人で、隣に住んでいた。

翔一の家も経済的に厳しい状況で、父親は他の女と駆け落ちし、母親は清掃の仕事で生計を立てていた。

しかし、彼は生まれつき明るく楽観的で、私に会うたびに笑顔を見せてくれた。でも、当時彼に応じる余裕すらなかった。

唯一私が少しでも元気になるのは、学校の裏山に行ってザクロを摘むことだった。太陽の光を浴びて、ザクロは真っ赤に大きく育っていた。

今でも覚えていた。あの日、夕方になってようやく木に登り、手を伸ばしてザクロを取ろうとした瞬間、私は木から落ちてしまった。

だが、予想していた痛みは訪れず、下を見ると、顔が真っ青になった翔一が私の下敷きになっていた。

「ごめん......」

当時の彼は細身で、そのせいで骨折してしまった。

病室で私は泣きながら何度も謝った。

彼は落ち着いた様子で、「最近お前が笑いもしなければ泣きもしないから、どうかしちゃったのかと思ったよ。こうして泣けるなら、大丈夫だな」と言った。

「これから、食べたいものがあったら言ってくれ。俺が買ってくるよ」

「美咲、一人で抱え込むなよ。俺がいるからさ」

当時はそれが何気ない言葉だと思っていた。

あれからもう十年以上が経った。

私は道路脇に崩れ落ち、荒い息を吐きながらぼんやりと車の往来を眺めていた。記憶が再び混乱し始めた。「おかしいな。何をしようとしてたんだっけ?」
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