第6話

我慢していた涙がついに溢れ出した。

どうして…どうして私にこんなことをするの？

愛していないのなら、なぜ私と結婚したの？

なぜここまで私を欺き続けたの？

見南は、夏悠を部屋に押し込んでドアを閉めた。

彼女には、自分たちの壊れた結婚生活を見せたくなかったのだ。再び彼女を傷つけたくないという気持ちからだろう。

「皐月、お前は何を騒いでるんだ。妊娠検診にどうして俺が一緒じゃなきゃいけないんだ」

「どうして、私にこんなことをするの？」

彼は一瞬驚いたようだったが、すぐに態度を柔らかくして私の隣に腰を下ろし、小声で慰めるように言った。

「皐月、彼女は病気なんだ。病人に張り合う必要なんてないんだろ」

この人何を言っているのか自分が理解しているのか？私は涙に霞んだ目で彼を見上げた。

「見南、私はあなたの妻なのよ」

「もうやめてくれ、そんなことして、誰も嬉しくないんだ。もっと寛大になってくれ。悠ちゃんが元気になったら、絶対一緒に行くから。それでいいだろ」

「うっ…」

私は彼の目の前で身を屈め、胃の中のものをすべて吐き出した。その後、抑えきれずに病的な笑い声を上げた。

ようやく、私はすべてを手放すことができるのだ。

あなたを、そして私たちの過去を。

夜も遅く、見南は服を着替えると、何も言わずに新婚部屋を出ていった。

彼は、私がまた何かしでかして夏悠を傷つけるのが怖かったのだろう。私を冷静にさせるために、彼女を連れて行ったのだ。

私は立ち上がり、自らの手で作り上げたこの牢獄を見渡した。

そして、壊せるものはすべて壊した。

ここに残してはいけないもの、思い出のすべてを打ち砕いた。

家がめちゃくちゃになるまで破壊し続け、ようやく心が静まった。

最後に、机に向かい、彼が言っていた「寛大」という言葉をしっかり学んでみた。

翌朝、私は離婚届を残し、実家へ戻った。

空港まで迎えに来てくれたのは、幼馴染の栄歌だった。

彼女の家に着いて、シャワーを浴びると、ようやく昨日の出来事から少しだけ距離を置けたような気がした。

栄歌は「実家に帰る？」と尋ねたが、私は首を振った。

突然すぎて、まだ両親にどう伝えるべきか整理できていなかった。

彼女は私に温かいお茶を差し出し、「ゆっくり休んで」と優しく言って部屋を出ていった。

こんなに深く眠ったのは久しぶり